夫婦2人の老後生活費、最低いくら必要? (2016/10/26 政治山)
夫婦2人で老後生活を送る場合、最低いくら必要でしょうか。公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査(平成28年度)」速報版によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考えられている最低日常生活費は平均22.0万円(月額)で、前回2013年の調査と同額でした。
調査地域は全国400地点で、18~69歳の男女個人を対象に、2016年4月2日から6月3日にかけて行われ、4056のサンプルを回収しました。このデータは、保険会社やファイナンシャル・プランニング(FP)の説明で、よく引用される資料で、顧客が財形貯蓄を考える際の重要な指標となります。
ゆとりある老後生活には月34.9万円
回答の分布をみると、「20―25万円未満」が31.5%と最も多く、以下「30―40万円未満」(15.0%)、「25―30万円未満」(13.6%)の順となっています。
「ゆとりある老後生活費」は、最低日常生活費に約13万円上乗せした平均34.9万円。デフレ経済が続く影響からか、2007年以降、減少傾向が続いています。金額の分布をみると、「10~15万円未満」が34.9%と最も多く、「10万円未満」(23.9%)が続いています。前回と比較すると、「30万円以上」が2.3ポイント減少しています。
上乗せ額の使途として、「旅行やレジャー」が60.6%と最も高く、「身内とのつきあい」(50.1%)、「趣味や教養」(49.7%)、「日常生活費の充実」(49.0%)の順となっています。
60歳から85歳まで1億円が必要
「老後資金は1億円が必要」と言われますが、その根拠もこの「ゆとりある老後生活費」によって説明できます。夫婦2人で老後を過ごす期間を60歳から85歳までの25年とすると、「34.9万円×12カ月×25年=1億470万円」が、ゆとりのある老後を過ごすのに必要な資金ということになります。
平均月6万2326円取り崩し
一方、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦無職世帯の実収入は21万3379円(総務省「平成27年家計調査年報(家計収支編)」)で、その内訳は社会保障給付(公的年金)が19万4874円、その他(個人年金や利息・配当収入)が1万8505円です。
支出の合計は27万5706円で、内訳は消費支出24万3864円、税・社会保険料等の非消費支出が3万1842円です。つまり、実収入から支出の合計を差し引いた6万2326円が、毎月の赤字となっており、多くの高齢夫婦は貯蓄を取り崩しながら、最低日常生活費よりも少しだけゆとりある生活をしている、ということがうかがえます。
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