[用語解説]国民栄誉賞
五輪活躍選手に国民栄誉賞?伊調、内村ら推す声 (2016/8/24 政治山)
リオデジャネイロ五輪で、女子の個人種目で五輪史上初の4連覇を達成したレスリング女子58キロ級の伊調馨選手(32)に対し、国民栄誉賞に値するとの呼び声が高まっています。
初受賞は1977年の王貞治選手
国民栄誉賞は日本の内閣総理大臣表彰の1つで、これまでに22人と1団体が受賞しています。1977年、当時の福田赳夫首相が、プロ野球の王貞治選手による通算本塁打数の世界新記録達成(756本)を称えたのが始まりで、国民栄誉賞表彰規程に従って運用されています。
同規程では、その目的として「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」とされ、対象者は「内閣総理大臣が本表彰の目的に照らして表彰することを適当と認めるもの」と規定されており、首相の裁量に委ねられています。ただ、規程実施要領では「民間有識者の意見を聞く」と明記されており、恣意的な乱用ができない仕組みになっています。
これまでに受賞した22個人1団体のうち12人は没後の授与です。2011年に初めて、団体としてのサッカー日本女子代表に授与され、その対象は選手とスタッフの35人でした。安倍政権では、“昭和の大横綱”大鵬こと故・納谷幸喜氏、“ミスタープロ野球”長嶋茂雄氏、“ゴジラ”松井秀喜氏の3氏が2013年に受賞しています。
辞退者のコメントも話題に
他方、メジャーリーグで活躍するイチロー選手は、2001年に日本人初のMVP、2004年にシーズン最多安打記録更新と2度の快挙でそれぞれ授与を打診されたものの「現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」と固辞しました。プロ野球では、1983年に当時の世界記録となる通算939盗塁を達成した福本豊選手が打診されたものの、「そんなんもろたら立ちションもでけへんようになる」と辞退の理由を明かした逸話は有名です。
伊調選手はリオ五輪の閉会式で、「活躍が顕著だった選手」の1人として国際オリンピック委員会(IOC)に招かれ登壇しました。女子の個人種目での五輪4連覇は史上初で、男子でもカール・ルイスやマイケル・フェルプスなど4人しか達成しておらず、世界的な快挙です。レスリング女子では、前回2012年ロンドン大会で五輪3連覇を達成した吉田沙保里選手が、世界選手権と合わせて「世界大会13連覇」を果たしギネス世界記録に認定されたことで国民栄誉賞を受賞しました。吉田選手は今回銀メダルに終わり4連覇を逃しており、実績としても伊調選手への授与を推す声は高まりそうです。
体操の内村選手を推す声も
また、体操競技の内村航平選手も、五輪3大会で個人総合2連覇を含む7つのメダル(金メダル3、銀メダル4)を獲得し、世界体操競技選手権では個人総合6連覇を含む19個のメダル(金メダル10、銀メダル5、銅メダル4)を獲得しており、受賞に値するとの評価があります。
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