[用語解説]ヘルプマーク
障害者用「ヘルプマーク」を全国共通化できないか―読者の質問に答えます (2016/6/24 政治山)
政治山読者の方から、都内でしか使えない「ヘルプマーク」に関して、「全国共通化できませんか」というお問い合わせをいただきました。そこで、ヘルプマークについて調べました。
都営の交通機関で無償配布
ヘルプマークは2012年10月、都営地下鉄大江戸線で優先席へのステッカー標示やマーク配布から始まり、その後、他の都営交通(地下鉄とバス)、ゆりかもめ、多摩モノレールに広がりました。
外見では障害のない人と見分けにくい、何らかの障害を抱えた人が身につけることで、公共交通機関での優先席利用に理解を図るためのマークです。対象となる障害者の例を挙げると、義足や人工関節の使用者、妊娠初期の人、心臓や肝臓、呼吸器など内部障害の人、難病の人、多発性硬化症(手足のしびれ、力が入らない、疲れやすい)の方など。
東京都では、都営の交通機関などで対象者に無償配布しており、今年3月末までに11万5000個が配布されました。
都が作成したヘルプマークのPR動画
京都府でも東京都のヘルプマークを2016年4月から提供開始。このほか、青森県、徳島県、札幌市などの各自治体でも今後の導入が予定されています。
一方、類似のマークは既にいくつかあります。NPO法人ハート・プラスの会が「ハート・プラスマーク」を、兵庫県が「譲り合い感謝マーク」を、山口県が「サポートマーク」を独自に作り、各団体や自治体で運用しています。
東京都は、関東知事会でヘルプマーク使用を呼びかけるなど啓発に努める一方、「他のマークと共存しながら、利用者が都外でも使えるように努めたい」としています。
また、今年4月に障害者差別解消法が施行されたこともあり、12月3日からの障害者週間ではヘルプマークの広報活動強化を検討中です。
利便性を考えればピクトグラム(絵文字)は統一された方が周知されやすいと考えられますが、自治行政の範疇でもあるため、国が主導する予定は今のところありません。今後は、自治体間のさらなる連携に期待したいところです。
- <著者> 上村 吉弘(うえむら よしひろ)
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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