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九州発、若者に政治ニュースを届けるメディアVote→Japan (2015/8/12 政治山)

 2015年6月17日の参院本会議で、参政権が18歳まで引き下げられる法案が可決しました。この参政権の引き下げは2016年夏の参院選から適用されます。総務省の年代別投票率調査によると、2014年12月に行われた第47回衆議院議員総選挙では20歳代の投票率は32.58%に留まります。今回の参政権の引き下げによって、今後の若者の政治への関心を高めるための取り組みがますます注目されることが予想されます。

 そこで、「若者の若者による若者のための政治」をコンセプトに「Vote→Japan」(http://vote-japan.com/)というメディアを運営する九州大学4年の朝舩颯哉さんに、若者の低投票率と18歳選挙権の解禁に向けての取り組みについてお話を伺いました。

Vote→Japan Webサイト

Vote→Japan Webサイト

若者の若者による若者のための政治

――Vote→Japanについて教えてください。

「Vote→Japanは、若者がより政治を身近に感じられるように政治関連の情報を発信するメディアです。大学生が経営を行うビジップ株式会社とNPO法人学生ネットワークWANの事業として、2015年7月に公開しました。

 議員さんへの取材内容や、全国の政治をテーマにした団体の活動、押さえておきたい政治ニュースなどをわかりやすく記事にして発信しています。私たちの活動や考えだけではなく、他の団体の意見・考えも記事にすることで多様な考え方に触れられるコンテンツを作っています」

――“Vote→Japan”という名前からすると、投票率を高めることが目的なのでしょうか?

「いいえ、あくまでより多くの若者が政治に関心を持つようになることを目的とし、その結果として若者世代の投票率が高まることが狙いです。選挙前にだけ高額なプロモーション費用や多大な労力を割いて『投票に行こう!』と呼びかけるのは本質ではありません。若者が普段から政治に触れ、自分であるべき日本の将来の姿を判断し、価値のある一票を入れる。そういった流れを生み出すために普段から欠かさず情報発信を行っています」

18歳選挙権の危険性と文科省の打開策

――若者の政治意識を改善するメディアを運営する朝舩さんは、若者の低投票率と選挙権の引き下げにどのようなお考えをお持ちですか。

「若者の低投票率という問題を抱えたまま、むやみに選挙権を引き下げるのは危険だと考えます。税金の無駄遣いといったような問題ではなく、自分で考えて政治に判断を加える意味を考えないまま、無理やり投票だけさせても、民意を反映した結果にはなり得ないと考えています。

 しかしこれは現状の話であって、文科省は高校生に政治的教養を高めるための提供することを予定しています。京都の大学・高校では、既に模擬投票や政治講義も行われています。高校生のうちから政治へ自分たちの意志を反映させることを身近にしておけば、これから若者の政治意識は改善されることだと思います」

――若者の低投票率を改善するために、何が必要だと考えていますか。

「根本的に必要なのは教育です。文科省はこれまで教育の中立性を保つために政治講義を積極的に行ってきませんでした。しかし教育はこれから改善されることだと思います。次に重要なのは、自分の意志を政治に反映する経験です。自分が実現したい国や市の方向性、それに実現してくれる代理人(議員)の情報や活動に触れる経験は、政治に対する若者の諦めや無関心を払拭するキーになります。

 若者が選挙に行かない理由として『どの政党や議員も同じに見えるから、期待していない』という意見が最も多いです。確かに“政治家=選挙カーとポスター”という印象を持つ若者にとっては無理もありません。それぞれの議員の活動を可視化することが大事ですね」

――Vote→Japanは若者の低投票率を改善するために、どのような情報を発信していきますか?

「先ほど自分の意志を政治に反映する経験が必要だと言いましたが、代理人(議員)の情報を手に入れないことには投票の重要性も理解できません。Vote→Japanでは、政党にこだわらず議員の活動を発信していきます。

 また、政治教養を高めるため、そして時事を理解するための十分な知識を手に入れられるように、今すぐ読みたい政治ニュースを発信します。堅苦しいだけでは面白くないので、実際に活動している若者に焦点を当てたり、ライフスタイルに関するトピックも絡めながら、少しでも面白いコンテンツを作っていきたいですね」

朝舩颯哉さん【取材協力】
朝舩 颯哉(あさふね たつや)

九州大学 経済学部 経済工学科4年
1992年生まれ22歳。ビジップ株式会社 代表執行役社長。2015年6月に選挙権の引き下げの法案が可決されたことから、若者の政治意識の低さに危機感を感じ始める。それから1カ月後、NPO法人と連携して2015年7月に若者に政治ニュースを届ける「Vote→Japan」を立ち上げる。
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