女性の雇用・労働について、学生たちが政策立案 (2014/9/5 政治山)
8月30日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにて、学生のための政策立案コンテスト「GEIL2014」の決勝プレゼンテーションが行われました。同コンテストは、東大や早慶の学生からなるGEIL2014実行委員会が主催し、経産省や厚労省、東京都などの後援と企業協賛を得て開催され、今年で16年目を迎えました。
今回のテーマは女性の雇用・労働について。80人の学生が20チームに分かれて1週間かけて政策立案を行い、決勝前日の予選を勝ち抜いた5チームが政策を発表しました。
学生ならではの視点で女性の働き方について考える
決勝プレゼンテーションではまずチームごとに政策を発表し、会場に賛否を問いつつ審査員や参加者からの質問に発表者が答えた。
発表内容は保育所や保育士のあり方を見直す提案から、労働時間の短縮や育児休暇取得の促進などの労働環境の改善まで多岐にわたったが、最優秀賞に選ばれたチームTの政策「労働と家事の両立のための政策パッケージ」では企業の取り組み姿勢を評価する「賞罰サイクル」、審査員賞を受賞したチームBからは保育業務のワークシェアリングなどが提案され、学生ならではのユニークなアイデアも各所に散りばめられていた。
大企業の理論や労働者の目線だけでは課題解決にならない
審査員を務めたのは、林伴子(内閣府官房副長官補室内閣参事官内政統括担当)、児玉直美(一橋大学経済研究所准教授)、川本裕子(三菱UFJフィナンシャル・グループ取締役)の3氏。
審査員からは、各チームの課題抽出やデータ分析の精度、作り込んだ発表資料と堂々としたプレゼンテーションを評価する声が相次いだ。
また質問や講評では、大企業だけを想定して中小企業の実態をどこまで把握しているのか、労働者の視点に偏りすぎているのではないか、などの厳しい意見も聞かれた。
働き方は人それぞれ、「正社員」だけが正解ではない
政策発表後のパネルディスカッションでは、麓幸子氏(元日経WOMAN編集長・日経BP総合研究所所長)と相川恵美氏(住友生命保険相互会社人事室担当室長)が登壇。ファシリテーターは中谷和馬GEIL2014実行委員長が務めた。
実際に働く女性との接点が多いパネラーの両氏からは、産休や育休、時短勤務などの制度について、多くの実例を交えて職場や子育ての実状が紹介された。また、在宅勤務やクラウドソーシング、非正規としての働き方など「正社員として働く」ことを前提とした政策立案からの発想の転換も必要との問題提起もなされた。
20年後のリーダーとして、多様な視座に立った政策立案を
このコンテストの参加者の多くは公務員志望で、キャリア(国家公務員一種)を目指す学生も少なくないという。ステークホルダーの利害を調整するリーダーには、労働者と使用者双方の視点を持つことだけでなく、男性と女性の生き方や役割分担といった大所高所的な視点も求められる。
審査員の川本氏からは「今回のテーマで審査員もパネラーも全員女性というのはいかがなものか」との指摘がなされたが、労働人口の減少はまさしく社会全体の課題。20年後のリーダーを目指す学生たちには、多様な視座を身につけるための経験を重ね、血の通った政策立案を期待したい。
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