[用語解説]政見放送
ネット選挙解禁で広がる、政見放送の可能性 (2014/11/7 政治山)
11月16日投票の愛媛県知事選、沖縄県知事選は現在、選挙戦の真っただ中です。県内ではテレビやラジオで、各候補者の政見放送が流れているころでしょう。政見放送とは、候補者や政党がテレビやラジオで政治見解を発表するための放送ですが、どういった決まりで行われているのでしょうか。
衆院選では政見放送ができない候補者も
政見放送は、衆院選と参院選、そして都道府県知事選において実施され、候補者は無料で放送することができます。しかし衆院選の小選挙区に限っては、候補者全員にその権利があるわけではありません。公職選挙法では、衆院選の小選挙区においては候補者本人ではなく候補者届出政党(※)に政見放送を行う権利があると定められており、そのため無所属の候補者には政見放送を行う権利がないのです(公選法第150条1項)。
(※)候補者届出政党になることができるのは、(1)衆議院議員または参議院議員を5人以上有するか、(2)直近の国政選挙での得票総数が有効投票の2%以上である政党その他の政治団体です。
ありのまま放送しなくてはいけない
テレビ・ラジオの放送局は、候補者もしくは政党の政見を録画・録音した後、編集を加えずにそのまま放送しなくてはいけません。また、衆院選の小選挙区では、候補者届出政党が持ち込んだ映像や音声を放送することもできますが、この場合も編集せずに放送しなくてはなりません。
また、政見放送の回数、時間、どの局で放送するか等は、総務省の「政見放送及び経歴放送実施規定」に則っています。衆院選の小選挙区と衆参比例代表の場合、放送回数は、政党が届け出た候補者数や比例名簿に登載した人数により違いがあります。参院選の選挙区と知事選の放送回数は、テレビとラジオを合わせて8回(NHKと民放各社それぞれ4回)、またNHKでの放送はテレビ2回、ラジオ2回と定められています。
政見放送の時間の長さは、次の表の通りです。
選挙 | 政見放送の時間の尺(1回あたり) |
---|---|
衆院選(小選挙区) | 9分以内 |
衆院選(比例代表) | 9分以内 |
参院選(選挙区) | 5分30秒以内 ※ただし、衆院選と同日選挙の場合は14分以内 |
参院選(比例代表) | 17分以内 |
都道府県知事選 | 5分30秒以内 |
ネット選挙解禁で変わる政見放送のあり方
2013年の参院選からネット選挙運動が解禁され、従来の政見放送とは別に、すべての政党・候補者・候補者以外の者が自作の動画を製作して、選挙期間中にインターネット上で公開することが可能となりました。この場合、特定のフォーマットや時間の制約などがないことに加え、視聴する側の有権者はインターネット環境が整っていれば、いつでもどこででも動画を見ることができます。
なお、従来の政見放送の映像をインターネット上で公開(動画サイト等にアップロード)するには、著作隣接権者(放送事業者)の許諾が必要です。
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