兵庫県議に聞く、地方議員の役割と政務活動費のあり方 (2014/10/2 政治山)
不自然な視察や領収書、切手の大量購入など、政務活動費の用途に関する問題が表面化している兵庫県議会ですが、運用の仕方や考え方は議員によって異なります。今回の一連の騒動は、同じ議会に属する議員からはどのように見えているのでしょうか。政務活動費の運用ルールの明確化と情報公開を推進する、丸尾牧県議会議員にお話を伺いました。
――実際に政務活動費は、何に使われているのですか?
「兵庫県議会では、政務活動費は議員1人あたり月額50万円(今年10月から45万円)、年額600万円支給されていましたが、私は効率的に使うことを心掛け、毎年6~7割程度は返金してきました。実際の支出は、県政に関わる重要な地域課題で住民へのアンケート調査実施、健康被害の訴えがあり研究施設周辺での大気汚染調査実施、公共施設の老朽化による建替費用試算の調査委託などに使ってきました。その他に学習会の参加費用、県政報告紙の作成費用、事務費などにも支出しています」
――兵庫県議会では、なぜこのような問題が起きたのでしょうか?
「領収書の代わりに支払証明書という本人の届け出だけで交通費が清算できたこと、出張報告書などの成果物の提出が不要だったこと、書籍名など細かな支出内容について説明が不要だったこと、議会事務局のチェックが甘かったこと、収支報告書や領収書は公開されているが、年間2万ページにもなり市民側のチェックが難しかったことなどが挙げられます。領収書の偽造などがあればお手上げですが、できるだけ詳しい説明や資料を提出することで、不正予防にはつながります」
――政務活動費はどのように運用されるべきだと思いますか?
「基本原則は、誰でもが見ることができるようにすることだと思います。兵庫県議会においては、調査研究費、研修費など個々の費目の総額が記載された収支報告書、1件ごとの支出内容が記載された会計帳簿を県議会HP上でアップすることが決まりました。領収書のHP上での公開は見送られましたが、それも実施すべきことです。それがすぐにできなければ、愛知県などで実施しているCDに領収書データを入れ、安価で住民に提供することが必要です。出張報告書、切手受払簿などの作成、提出義務化が決まりましたが、それらもHP上でアップすることが好ましいでしょう」
――地方議員は有権者に対して、どのように情報発信すべきでしょうか?
「議員の仕事が見えないとよく言われます。一方で、政務活動費の支出内容を見れば、その議員がどんな調査活動や取り組みをしているのかよく分かります。まずは進んで政務活動費の支出内容を公開してはどうでしょうか。県政報告紙やHPなどで、その調査結果や成果物を公表し、それらのデータを基にした質問で、行政側がどのように対応したのか、住民に伝えて行くことが重要です。その情報が住民に伝われば、議員活動の全体像が、住民にも伝わり、仕事をする議員と仕事をしない議員について、有権者が選別できることになります」
- 【取材協力】
兵庫県議会議員 丸尾 牧(まるお まき)
兵庫県尼崎市生まれ、大阪産業大学工学部卒業。有吉佐和子著「複合汚染」を読み環境問題に目覚める。開業資金を稼ぐため佐川急便に入社。八百屋、農家で研修後、24歳で有機野菜を販売する八百屋を開業。尼崎市議会で全議員が不正出張をした事件が起こり議会の解散運動等に参加。28歳で市議会議員選挙に立候補し当選、市議4期、県議2期。市民オンブズ尼崎世話人、緑の党グリーンズジャパン。
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