【社会】「差別はないが無関心」 日本で同性婚が合法化されない理由 NewSphere(ニュースフィア) 2013年10月7日
2001年、世界で初めてオランダが同性同士の結婚を認める法律を施行してから12年。その間、ヨーロッパ、南米を中心に各国が追随し、現在では14ヶ国で同性婚が法的に認められるようになりました。
この動きは近年盛んになってきており、特に今年2013年は、ウルグアイ、ニュージーランド、フランスが相次いで同性婚を合法化。13州で導入されているアメリカでは6月、連邦最高裁が同性婚者にも異性婚者と平等の権利を保障するという判決を下しました。
さらに保守的であると見られているアジアでも、タイ、ベトナムなどで同性婚の合法化に向けた動きが活発化するなど、国際的に合法化の波が広がっています。
日本の状況 日本はといえば、同性結婚は法律的に認められていません。結婚とは別ですが、それと同等の権利を同性同士に認めるパートナーシップ法(シビル・ユニオン)も存在しません。また、それらの合法化に向けた行政機関の動きもほとんど見られない状況です。
そのような日本の事情を、ウォールストリートジャーナル紙が報じています。
合法化が困難な理由 まず同紙は、合法化の障害の一つとして日本国憲法第24条を挙げています。そこには「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」とあり、同性間の結婚は認められていないと指摘。日本国憲法は改正が非常に難しく、1947年の施行以来、一度も改正されていないとし、「たとえ国民の支持があっても合法化は長い道のりだ」という弁護士の声を伝えています。
また、一般人がこの問題に対して(ある程度受容しているものの)それほど興味を持っていないこと、家族法で夫婦別姓も認められていないなど日本が保守的であること、さらに与党の自民党が同性結婚に対して否定的な意見を持っている(野党には支持する党もある)ことを、合法化が難しい理由に挙げています。
他国との違い さらに記事は、「アメリカや他の国とは違って、同性愛者に対して宗教に基づいた差別や憎悪は日本にはありません。しかし知識と意識が足りないのです」との、パトリック・リネハン駐大阪・神戸アメリカ総領事の声を紹介しています(同氏は、同性愛者であることを公言し、同性の配偶者を持つ)。
この発言にあるように、例えばキリスト教では、同性愛は宗教上の罪とされているため、保守的な宗派を中心に同性結婚に対する反対の声は根強いものがあります。実際に、5月に合法化したフランスでは合法化後も反対派による大規模なデモが行われています。
さらに中東やアフリカには、同性愛自体が犯罪行為であり、死刑を含む刑罰で罰せられる国も存在します。
そのような国々に比べれば、日本では同性愛に対して罪の意識は低いように思われますが、同紙は、(同性愛者であることを)カミングアウトして変化を求めて活動する人は、アメリカなどと比べて、比較的少ないと指摘しています。
小さな変化 一方で、民間レベルですが、同性結婚を容認していこうという動きがあります。一昨年、400年以上の歴史を持つ京都のお寺、春光院が同性結婚を執り行えると発表。また昨年、東京ディズニーリゾート内のホテルが同性結婚式を受け付けると発表し、3月には東京ディズニーランドで初の同性婚挙式が行われました。
こういった動きは小さなものですが、ここから合法化への機運が少しずつ醸成されていくのかもしれません。
前述のリネハン氏は「25年前に初来日したときには、日本の人は日本に同性愛者はいないと言っていました。日本も大きく変わりました。」と述べています。