【原発】「大衆の心を掴む天才」小泉元首相の反原発発言 海外紙の見解とは NewSphere(ニュースフィア) 2013年10月7日
小泉純一郎元首相は1日、多くの企業の代表者を含む約2500人が出席した名古屋の講演会で、政府のすすめる原発再稼働の方針を批判し、中止するよう求めた。小泉氏は、「正式な核廃棄物処理場がないのに、原発稼働を続けることは無責任だ。」と政府の政策を非難したという。
同氏は、2001年から2006年まで首相を務めた後、その姿を大衆の前に現すことは控えてきた。在任当時は、「原子力立国」を求める企業団体の側に立ち、東京電力の太陽光発電への補助を打ち切る決定を支持した原発推進派だった。しかし、2011年の福島原発事故後考えを180度転換したようだ。
原子力に関しては、前民主党政権は原発を徐々に廃止する方針であったが、現政権の安倍晋三首相は停止中の原発稼働再開をすすめる方針だ。
小泉氏発言の影響力 小泉氏は、現在でも最も人気のある政治家の一人であり、安倍首相の相談役でもある。在任時には一時80%を超える支持率を享受した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、同氏が大衆の心を掴む才に長けており、大きな改革を有権者に鼓舞するのがうまい、と報じている。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、小泉氏の原発ゼロ発言は、乱暴にも聞こえるが、同氏がこれまでその発言によって政治を大きく動かした過去を考えると、全くありえないことだとも言い切れない、と報じている。
彼の政治スタイルは、「ワンフレーズ・ポリティクス」あるいは、「小泉劇場」などとも呼ばれ、魅力的な売り文句を使い、旧体制を打倒するのだという画を描く。1日の講演でも、その要素が発言の中に多く見られたようだ。
例えば、政府が、日本は原発なしでは生き残れないと主張する様は、旧日本軍が戦時中満洲を手放すことを拒否した過去に似ているなどと発言したという。そして、「日本は灰の中から蘇った」と戦後の復興に現在の状況を当てはめ「(原発ゼロという)目標を掲げ、政府と企業がともに手をとれば、私たちは危機をチャンスに変えることができるはずだ。」と反原発をすすめようと訴えた。
原発推進の現政権 安倍首相は着任後、経済を支える安いエネルギー源確保の必要性を強調し、原発事故で停止している原発再稼働の方針を宣言。また、日本のインフラ技術を国外へ売り込むという政策の重要な一環として、原子炉を輸出した。
経済が上向いてきたことにより、安倍首相を支持する意見が強い中、稼働再開については大きく意見が分かれている。現状では、反対が賛成を少しばかり上回っているようだ。
小泉氏は今回の発言の中で、安倍首相を名指ししていないようだが、同氏の反原発の態度表明により、現首相のエネルギー政策に望まない光が当たることになった、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。
小泉氏は、「自民党が原発ゼロの方針を打ち出せば、原子力排除を支持する大きな世論のうねりがおきるだろう。」と与党に政策の転換を図ることを求めたという。