【海外】「韓国の防衛、もう任せたいけど…」 米国の苦しい台所事情とアジア重視戦略 NewSphere(ニュースフィア) 2013年10月4日
チャック・ヘーゲル米国防長官と金寛鎮(キム・グァンジン)韓国国防長官は2日、北朝鮮の脅威に対して、韓国の能力を強化すべく協力すると声明した。
米国は現在、アジア重視戦略を掲げている。しかし強制予算削減による軍事費の制約にも苦しんでいる。各紙は、重視と言うよりアジアのみにリソースを集中せざるを得ないだけであり、また韓国の防衛は韓国に任せたいがまだ不安が残る、といった米国の本音を透かし取っているようだ。
在韓米軍再編計画 ワシントン・ポスト紙によると、在韓米軍は現在100ほどある駐屯地を50ほどに再編、首都ソウルの龍山駐屯地にある本部も撤収して、兵力およそ28500の大部分をソウル南方約40マイル、平沢市のキャンプ・ハンフリーズに移動する。在韓米軍は北朝鮮国境から遠ざかり、韓国軍が主に残ることになる。
軍属や家族を含め44000人に及ぶ、アジアの米軍基地で最大となる人数を収容するため、同基地は拡張工事中である。移転費用110億ドルのうち32億ドルは米国、残りは韓国の負担と言われているが、その32億ドルも10年間で1兆ドルの強制予算削減に追われている今のペンタゴンには重いと、同紙は指摘する。昨年の在韓米軍の駐留費31億ドルについても、負担分担契約に従って7.65億ドルを韓国が拠出したが、毎年の負担額の増加率は米側の方が速いため、今年契約の再交渉を行うという。
基地再編は2008年に完了すべきところ、2016年予定にまで延期されている。また、戦時の米韓両軍の指揮権を米軍から韓国軍に移す計画も、2012年から2015年へと延期されている。各紙によると、これまでの韓国軍強化の試みにも関わらず、両国とも韓国軍の作戦能力にはまだ不安があるようだ。ヘーゲル国防長官は、在韓米軍の兵力削減は考えていないと強調している。
大統領の旅費も出せない米国 ニューヨーク・タイムズ紙は、オバマ大統領やケリー米国務長官が予算攻防と中東情勢に追われているため、韓国についてはヘーゲル国防長官に責任が回って来ているとの、専門家の指摘を伝えている。ヘーゲル国防長官の訪韓は、就任後7ヶ月で3度目だ。その代償として、米国の言うアジア重視戦略とは外交や貿易ではなく軍事上の意味なのだ、という緊張を地域にもたらしているという。
ホワイトハウスは同日、政府予算の停止に伴い、オバマ大統領が来週のフィリピンとマレーシアへの訪問をキャンセルし、ケリー国務長官が代表団引率を代行すると発表した。大統領はインドネシア・バリ島のAPECサミット、次いでブルネイのASEAN年次総会にも向かう予定であるが、これも状況如何ではキャンセルされるかもしれないという。