【海外】北朝鮮特使、突然の訪中 その思惑とは? NewSphere(ニュースフィア) 2013年5月24日
北朝鮮の崔竜海(Choe Ryong-Hae)朝鮮人民軍総政治局長は22日、金正恩第一書記の「特使」として北京を訪問し、王家瑞(Wang Jiarui)中国共産党中央対外連絡部長と会談した。
北朝鮮の高官による公式訪中は、去年8月以来である。討議内容、滞在時間、会談相手など、崔氏の訪中目的は明らかにされていない。
海外各紙は中国との関係修復であるとの見方を示している。ただし、上海の専門家は、北朝鮮が望む「中国の理解と援助」を得ることはないだろう、とフィナンシャル・タイムズ紙に語っている。
北朝鮮の言動に、中国が苦慮?
北朝鮮は援助や石油など大半を中国に頼っている。ただ、2月の核実験や12月のロケット発射実験などは、中国の警告を無視して行われたと言われており、中国共産党は北朝鮮に対し、いらだちをあらわにしているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。
さらに、北朝鮮は米韓などを挑発する言動を見せてきた。対して中国の習近平国家主席は、フォーラムの演説で、「誰も、自己の利益のためにこの地域や世界全体を混乱に陥れてはならない」と語り、名指しこそしなかったものの、北朝鮮を牽制した発言とみえ、「異例の表明」だったとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。
とはいえ中国にとって、北朝鮮の体制の安定は重要であるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘している。万が一体制が崩壊すれば、難民が大量に押し寄せ、在韓米軍が中国国境へ進出する口実につながると分析している。
総じて、中国はいつになく厳しい立場に立たされているとの論調だ。
北朝鮮の財政は窮迫か
こうした中、今月5日、黄海で中国漁船が北朝鮮に拿捕され、賠償金60万元(約1,000万円)が要求されていた。
対して中国外務省の洪磊(Hong Lei)副報道局長は、定例記者会見で、「中国は北朝鮮に無償で釈放することを要求する、賠償金は一切払わない」と表明していた。結局、21日、北朝鮮当局は21日に無条件で釈放するに至った。
こうした最近の行動から、国連の制裁や、中国の銀行の金融取引停止が、北朝鮮にとって圧力となっていることが伺える
なお韓国の東亜日報の取材に対し、複数の北朝鮮関係者は、「北朝鮮が食糧不足に対応するため、軍隊の備蓄を放出した」と証言。同紙は北朝鮮の食糧不足が切羽詰った状況であるとも報じている。