[名古屋市]救急搬送ビッグデータを活用し、熱中症リスク予測データを学校等へ提供 (2023/11/29 株式会社ぎょうせい)
名古屋市(229万3400人)消防局は、2023年6月から、市内の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、計415校と保育所等に対して、熱中症リスク予測データの提供を開始した。
市は2020年から、名古屋工業大学と連携し、救急搬送ビッグデータと同大学の予測技術との融合による熱中症救急搬送者予測技術の共同研究を実施してきた。2022年には、市内の中学校で熱中症が疑われる救急搬送者が複数発生したケースがあったことなどから、従来救急隊の効果的な運用のために活用していた熱中症救急搬送者予測技術を、今回、熱中症の未然防止のために応用。教育・保育現場に提供することにした。
提供するデータは、園児・児童・生徒それぞれの年代や生活環境、過去の救急搬送データを基にした時期による「暑さなれ」までも加味したうえで、1週間先までの屋外における熱中症リスクを1日単位で0%~100%の数値により示すもの。
子どもたちの屋外活動の方法や中止等を検討する目安として、60%をボーダーラインに設定。ピンポイントかつ直観的な熱中症リスク指標により、熱中症発生の防止や安全対策に役立ててもらう。市によると、こうしたデータの提供は全国初。取組みの推進にあたって市は、名古屋工業大学と連携するほか、中京大学スポーツ科学部の松本孝朗教授の助言も受ける。
市では、熱中症のおそれが高まると予想される日には、市が提供する熱中症リスク予測データを、暑さ指数(WBGT: Wet Bulb Globe Temperature)と同じように、外遊びや体育的な活動、学校行事などの中止や内容変更等の目安として学校等で活用してもらうことで、救急車を要請しなくてはならないほどの熱中症に至ることを未然に防ぎ、子どもたちの健康と安全を守ることを目指している。
(月刊「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)
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