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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2)◆対北圧力が増幅する中国懸念◆  株式会社フィスコ 2017年6月4日

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対北制裁は新局面迎えるか、中国不安と連動も

昨日のミサイル発射を受け、今朝の朝鮮中央通信は「精密制御誘導システムを備えた弾道ミサイルの発射実験に成功した」と発表した。標的にほぼ正確に命中させているとされる誘導技術は何処から来ているのか?5月23日号の米誌「ナショナル・インタレスト」は、GPSを持たない北朝鮮の誘導技術は中国の衛星測位システム「北斗」を使っている可能性があり、中国側はそれを阻止することができないと伝えた。14年に北朝鮮技術者が研修を受けていたことが報じられている。また、ミサイルエンジンの燃焼実験映像を公開した時はロシア製エンジンと酷似していると軍事専門家が分析した。サイバー攻撃でマネーを盗む以外に、技術も盗んでいるとの説もある。

26日付ロイターはミサイル開発に3人のキーパーソンがいると報じた。元空軍司令官のリ・ビョンチョル氏、ベテランのロケット科学者キム・ジョンシク氏、国防科学院のチャン・チャンハ氏で、諜報機関のターゲットになっていると思われる。北朝鮮核実験場の衛星写真分析で知られるジョンズ・ホプキンス大の米韓研究所のタウン副所長は「米中両国の圧力に対する反応であり、米国が強硬姿勢で臨んでも、脅しに屈しないことを示すため、(発射を)続けるのではないか」と述べた。

日本政府は来日中の中国外交トップの楊国務委員に圧力強化を直接要請、安倍首相は米国と協力して具体的行動を取ると表明した。今以上の具体策は何か。29日の韓国・聯合通信は「ブルガリア、チェコ、ルーマニアが北朝鮮労働者の雇用を中断した」と伝えた。推測だが、40カ国余に5.8万人の労働者を派遣し、年2~6億ドルの外貨を稼いでいるとされる。中ロの協力が必要だが、以前に出ていた海上封鎖説も燻る。対北圧力で協力に「合意」した習近平国家主席は、盗作であれ実利であれ中国の北朝鮮支援を止められていないとの見方が有力だ。トランプ大統領はツイッターでバックアップする姿勢を示しているが、北朝鮮の暴走は習主席の信任を揺るがしている。何処まで米国が我慢するか、不透明さを増している。

中国の5月景況感が低下していると報じられた。早期のデータを利用し、各社が独自に中国経済の分析を行っている。スタンダードチャータードは中小企業景況感指数(2ヵ月連続低下)、ドイツZEWと復旦大学は期待指数(5月にマイナス0.1に急低下、4月は15年以来の高水準17.7)、英ワールド・エコノミクスはセールス担当者景況感指数(5月は6ヵ月ぶり低水準)など。

昨日は上海、英米など海外市場が休場で、無風の相場だったが、中国関連の軟化が伝えられた。中国自体の経済変調リスクがあるが、北朝鮮問題で見られる亀裂が中国不安に跳ね返る公算がある。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/5/30号)

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