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中国の防空識別圏撤回を求める日本の矛盾、米国が同調しない理由は? 株式会社フィスコ 2013年12月5日
中国が独自に設定した防空識別圏について、日本政府が求める撤回要求に対して米国が共同歩調を取らなかった。
そもそも、防空識別圏の設定は国際法で禁止されている事項ではなく、これを規制する国際機関も存在しない。また、国際条約に縛られることもないため、各国・地域が比較的自由に設定できるものだ。今回の中国の発表前も、米国は識別圏の設定自体に反対していたわけでなく、日本の撤回要求に同調しなかったのもこうした流れを受けた決断だろう。
では、自由に設定できる識別圏に対し、日本が撤回を要求できるのか?基本的に識別圏は紛争の存在しない地域のみに設定することができ、沖縄県・尖閣諸島に領土紛争は存在しないという日本の主張に従えば撤回要求は矛盾することになる。
つまり、中国は尖閣諸島の領有権を日本と争っているとの立場を明確にしており、日本が撤回を要求するのなら尖閣を紛争地域と認めざるを得なくなるという理屈だ。紛争地域と日本が認めると、中国の軍隊はさらなる物理的圧力をかけてくる可能性も出てくる。
ちなみに、そもそも防空識別圏とは、2001年9月11日に発生した米国の同時多発テロに端を発したもの。自国領土に近づいてくるすべての航空機を安全確保のため識別するというものだった。 <RS>
- 株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。