日本共産党の躍進に海外紙注目 民主党より明確な“反・安倍”への支持か ニュースフィア 2014年12月17日
14日に開票された衆議院選挙で、自民・公明連立与党は、3分の2以上の議席を獲得した。与党勝利、野党敗北とみられているこの選挙で、唯一の例外が共産党だ、と海外各メディアは報じている。圧倒的多数を獲得した与党に対し健闘した共産党に注目した。
◆共産党、議席数を2倍に
共産党は、比例、小選挙区あわせて21議席を獲得。公示前の8議席から議席数を2倍以上に伸ばした。選挙戦では、平和主義、反原発など、安倍政権に明確に対抗する方針を示した。
沖縄1区では、自民党の候補を破り、普天間基地移設反対を主張する同党の赤嶺政賢氏が当選を決めた。共産党が小選挙区で議席を獲得するのは18年ぶりとなる。
衆議院では、法案の提出に20人以上の賛同が必要だ。つまり、共産党は今回の議席数増加で、党の主張をより国会の場に反映することができるようになる。
◆政治の現状に不満な人々の受け皿に
共産党は、2017年に予定されている消費税増税の中止、また、TPPへの不参加を主張している。党首の志位和夫委員長は、2011年の福島第一原発事故後、原発の再稼働に反対してきた。集団的自衛権行使を容認する憲法の再解釈にも反対だ。
日本大学の岩井奉信教授は、「実際に野党として機能している唯一の党だ」、「不満を持つ有権者の受け皿となっているようだ」(ブルームバーグ)とみている。志位氏も14日、「安倍政権に真正面から挑む共産党の姿勢と提案が、有権者に支持されたのだと思う」「経済と外交のどちらの問題でも、我々の公約が、社会に広く受け入れられた」(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP))と十分な手応えを感じているようだ。
明治大学の伊藤剛教授は、「一部の人にとっては、(共産党への投票は、自民党への)反対票なのだ」、「しかし、同時に、共産党はしっかりした政治方針を持ち、妥協しない政党として実際的な評価もある」(SCMP)としている。
また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、当選した21人の共産党候補者のうち、6人は女性だったことを取り上げている。他党に比べ女性の比率が最も高い。例えば自民党は、290人のうち、25人だった。
◆共産党という名前
日本共産党は、1922年に立党した。党のHPによると、当時日本のアジア侵攻に反対したため、第二次世界大戦後まで、正式な党組織として認められなかった。戦後、再び正式に立ち上げ、1979年には、消費税導入に反対を主張し、最大の39議席を獲得した。同党は、中国共産党や旧ソビエト連邦の共産主義からも独立した党だ、と説明している。
共産党という名前は、今となっては古めかしい響きかもしれないが、変わることはないだろう、と志位氏は2013年に話している。変わらぬ名前は「ぶれない党だということの象徴だ」という。頻繁に分裂・統合したり、名前を変えたりする党には、有権者が信頼を置くことはできないのでは(WSJ)、と他の野党の動きと比較して、共産党の信頼性をアピールした。