日本のテロ資金対策、北朝鮮並み? 国際機関が早期対応を求める ニュースフィア 2014年7月1日
28日、マネーロンダリングやテロ資金対策に関する国際機関「金融活動作業部会(FATF)」は、日本政府に対し、早期の法整備など対応強化を求める声明を発表した。
FATFは、最も重大な不備として、テロ資金の非合法化やテロリストの資産凍結メカニズムがいずれも不完全な点などを指摘。「日本が多くの重大な不備の是正を引き続き怠っていることを懸念しており、日本の進捗状況を今後も監視していく」と表明した。
【FATFとは】
FATFは1989年に設立され、加盟国はアメリカ、日本、中国など34ヶ国・地域。同サイトによると、目的は「国際的な金融システムの高潔性を脅かすマネーロンダリングやテロ行為への資金支援、その他の関連行為と戦うために、基準を定め、法や規制、あるいはオペレーショナルな手段の効果的な導入を推進すること」だ。
【警告に至る経緯】
FATFは2008年10月に、日本での実態調査を踏まえた「第3次相互審査報告」を公表し、関連法制定などにつき勧告を行っていた、とロイターは述べる。しかし、日本側の対応は遅れており、勧告を受けてテロ協力者の摘発範囲を拡大した「テロ資金提供処罰法改正案」が、ようやく先の通常国会で審議に入ったばかりだという。
【みずほ銀行暴力団融資事件】
昨年起きた「みずほ銀行暴力団融資事件」では、(旧)みずほ銀行が傘下の大手信販会社オリエントコーポレーション(オリコ)を通じて反社会的勢力に融資取引を行っていたことが明るみに出た。この事件もあって、日本の規制当局は、今回の警告に決まりの悪い思いをしているだろうと海外メディアは述べる。
【警告の影響は】
日本の財務省が27日に記者団に提供した資料によれば、警告は必要な法整備を早急に促すことを意図しており、変化が起きれば追加的な行動はないと財務省は予想している、と各メディアは報じている。
FATFには他に「ハイリスク・非協力国リスト」というものがあり、イランや北朝鮮、シリア、パキスタン、トルコが含まれているが、先進国で掲載されている国はない。警告に従って法整備を急げばリストに載ることはないだろう、と香港メディア「South China Morning Post」は述べる。
香港の金融当局は2013年4月、金融機関のトップに対して、マネーロンダリング対策を強化するという通達を出していた。同メディアによれば、その内容とは、銀行に立ち入り検査を行う検査官の数を、1年で2倍の22人にするというものだった。