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【政治】オバマの対日韓発言 「慰安婦」に注目する韓国紙、「未来志向」に注目する欧米・日本メディア  ニュースフィア 2014年4月30日

 日本を公式訪問した後、韓国を訪れていたアメリカのオバマ大統領は、25日の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領との共同記者会見で、従軍慰安婦問題について「歴史を振り返るなら、実に甚だしい人権侵害と考えなければならない」と語った。これを受け、安倍晋三首相は27日、「筆舌に尽くしがたい思いをされた慰安婦の方々を思うと、本当に胸が痛む」などと述べた。

 オバマ大統領は韓国に対して、過去へのこだわりを捨て、「未来志向」で前進することを求める発言もしている。各国メディアもこれらの「慰安婦」を巡る発言を報じているが、韓国メディアと日本や欧米メディアの見方には温度差があるようだ。

韓国紙は安倍首相の発言を「あいまいな返答」と批判

 韓国の中央日報は、「戦争中であることを考えても、女性たちは衝撃的な形で性暴力を受けた。これは甚だしい人権侵害だ」と、オバマ大統領のソウルでの発言を取り上げた。そして、これを日本に対する「公開批判」だと表現する。

 続いて、安倍首相が「胸が痛む」と述べた後、「20世紀は女性をはじめ多くの人権が侵害された世紀だった。21世紀はそうしたことが起こらない世紀にするため、大きな貢献をしていきたい」と付け加えたことを強調。こうした安倍首相の一連の発言について、「あいまいな返答を並べた」と批判した。

 同紙は、訪日全般についても、TPP交渉などで実務的な交渉を進めたいオバマ大統領と「情緒的な距離感を狭めようと」目論んだ安倍首相は、「すれ違いの連続だった」と茶化している。

欧米・日本メディアは「メッセージは韓国にも向いている」

 欧米のメディアの見方はもう少し冷静なようだ。AP通信は、オバマ大統領が「元慰安婦たちの言葉に耳を傾け、敬意を払うべきだ」などと語った一方で、日韓両国に「過去の痛みから前進するように求めた」と報じた。

 CNNも、オバマ大統領は「両国に対し、この問題における何十年もの対立から前進することを求めた」と表現する。主要欧米メディアはいずれも、オバマ発言は単なる日本批判ではなく、日韓両国に「未来志向の関係」の構築を求めるものだったという解釈だ。

 日本メディアも同様の姿勢だ。リベラルな東京新聞は、「オバマ大統領は従軍慰安婦問題について、日本に予防的なスタンスを取るように求めると同時に、ソウルには感情的な反応を克服するよう求めた」と社説で述べた。朝日新聞も、「オバマ大統領は、韓国にもっと柔軟になるよう、求めているように見える。韓国が過去に強くこだわっているため、両国が未来志向の協力関係を築くことができないでいるからだ」と報じている。

「政治・外交問題化すべきではない」

 加藤勝信官房副長官は、25日夜のBSフジの番組で、安倍首相の「心痛」について言及した後、慰安婦問題を「政治・外交問題化すべきではない」と述べた。AFPはこの発言を取り上げると共に、オバマ大統領も「過去の心痛を解消する道を探るためにも、日韓両国の人々が、後ろと同時に前を見ることが大切だ」と述べたと記している。

 一方、中央日報は加藤氏らの発言について、日本政府から「意味を縮小するような主張が出ている」と批判している。

提供:ニュースフィア