【社会】ダライ・ラマ法王14世、来日 東日本大震災被災者に“シンパシー”…故郷に帰れぬ境遇からか ニュースフィア 2014年4月16日
4月6日、ダライ・ラマ法王14世が来日した。7日には、仙台で行なわれた「東日本大震災神道祈りの会」に出席。18日まで日本に滞在する予定だ。
10、11、12日は大阪・京都で講演を行ない(京都大学の研究会など)、13、14、15日は高野山に滞在。17日には東京を訪れて講演会を行なう。今回の来日では政治家との面会はないとみられている。
ダライ・ラマ法王14世から被災者へのメッセージ
7日に仙台で開かれた「東日本大震災神道祈りの会」は、復興が進むなか、心のケアが必要な方や、仮設住宅生活を余儀なくされている方を招待して行われた。ダライ・ラマ法王14世は、神道の神事に参加し、講演を行なった。
講演では、復興へのキーワードとして「決意」「継続」「信頼」が挙げられた。
ダライ・ラマ法王14世は講演の中で、インドの竜樹(ナーガルジュナ)の言葉を引用し、「もしあなたが沈んだ気持ちでいるとして、それを自分の中で受け入れてしまったら、沈んだ心のまま。そこから抜け出すには、自分が出来る事を自覚し、その上でこれから成していく事を決め、それを継続していくこと。そして自分を信じること」だと語りかけた。
また、被災者に対して「sympathy」(共感)という言葉を使っている。ダライ・ラマ法王14世は、中国の侵略政策によって24歳で祖国チベットを追われ、インドへ亡命。インド北部・ダラムシャーラーにチベット自治政府を移し、これまで54年間、難民として生きてきた。祖国に帰ることのできない苦しみ、親しい人と別れる悲しさを知るが故に、被災者の方々に対して「sympathy」(同情、共感)の念がこみ上げてくるのだろう。
韓国の中央日報は、日中関係の悪化を懸念
韓国の中央日報は3月25日、ダライ・ラマ法王14世の来日発表を受け、日中関係の悪化を懸念した記事を掲載している。
前回(2012年11月)の来日時には、中国外務省の洪磊報道官が、「日本の右翼勢力がダライ・ラマを助けるのは中国に対する内政干渉」と非難していた。今回の来日では政治家との面会予定がないためか、中国政府は公式反応を示していない。
2008年以降、チベットでは中国の強圧政治に対する抗議活動が続いており、中国政府は警戒を強めている。中国政府は抗議活動の背後にダライ・ラマ法王14世がいるとの見解を示し、入国を禁止し、外国訪問への反対を表明している。
なお日本のメディアでは、毎日新聞や産経新聞が来日を報道。『ハフィントン・ポスト日本版』や『THE PAGE』が、講演や質疑応答の内容を詳しく報じている。