【海外】米中接近の一歩? ヘーゲル国防長官が初めて中国空母「遼寧」を視察 ニュースフィア 2014年4月9日
チャック・ヘーゲル米国防長官は7日、中国を訪問し、中国初の空母「遼寧」を視察した。外国人の乗艦はヘーゲル氏が初めてだったという。「遼寧」は、中国がウクライナから購入した、ソビエト時代の空母を改良し再装備したものだ。
同空母は2013年12月5日、南シナ海で試験航行中、米海軍のミサイル巡洋艦船「カウペンス」と急接近。アメリカ側が緊急回避行動をとり衝突を免れる、という事件があった。
ヘーゲル氏は、10日間の日程でアジア太平洋諸国を訪問中。6日には、日本の小野寺五典防衛大臣と会談し、両国のさらなる防衛協力について話し合った。中国政府高官と会談後は、モンゴルを訪問し、その後帰国予定だ。
米中両国軍の結びつきを強めたいアメリカ
アメリカは今回の空母視察を、中国が「開発に取り組んだ最新の軍備について、情報を開示しようとする誠意ある尊い行動だ」と高く評価している(ロイター)。
国際時事専門のザ・ディプロマット誌によると、国防総省報道官ジョン・カービー海軍少将は、ヘーゲル氏が「中国訪問で、両国の信頼関係構築、情報の公開と透明化、国際的な役割を果たす事の重要性を強調することになるだろう」と話したという。
同誌は、オバマ政権は、アジア地域での力関係を再構築するために中国との対立を軽減し、両国の軍部同士の結びつきを強めたいと考えている、と報じている。
中国は日本の動きに懸念
しかし、アメリカが日本に肩入れしている以上、同氏が訪中で大きな成果を得ることは難しいだろう、ともみられている。
ヘーゲル氏は、「日米関係はアジアの平和と安定、防衛において、非常に重要だ」と話している。一方中国は、アメリカが歓迎する日本の新たな防衛装備移転三原則に、不信を強めているようだ。日本の集団的自衛権に関しても、同盟国アメリカは行使容認を望んでいるが、中国は日本の軍国主義回帰だと牽制を繰り返している。
ロシアと中国の動きは同じ、と米認識
アメリカは、中国の海洋上の軍事行動と、ロシアのウクライナへの行動は同じとの認識だ、と海外各紙は報じている。
ヘーゲル氏は6日、「力によって、世界を支配したり、国境線を引き直したり、また地域の自治権や国の主権を侵してはならない。それが太平洋の小さな島であれ、ヨーロッパの大国であれ同じことだ」と述べた。同氏は、中国は強大な力を有し、その力は、新しくより広い責任を果たすために使われるべきとしている(ブルームバーグ)。
アメリカは先週、北朝鮮の脅威に対抗するためとして、弾道ミサイル対応型のイージス艦を2隻日本に追加配備すると明らかにした。これらの動きは、中国からは自国に向けられたものだとみえるだろうとディプロマット誌は推測し、アメリカと中国の関係発展が難しいと示唆している。