【社会】“STAP細胞作製に成功” 香港の大学教授が発表 海外メディアも注目 ニュースフィア 2014年4月3日
画像の切り貼りや文章の無断引用などの疑惑があがっていたSTAP細胞論文をめぐる問題に関し、理化学研究所(理研)は1日、論文にねつ造などの不正があったことを認める調査結果を発表した。
一方、英ガーディアン紙は、この調査報告会見の直後、「論文とはほんの少し違う手順でSTAP細胞の実験再現に成功した」という声が香港からあがったことを伝えている。
まさかの大逆転が?
実験の成功を訴えたのは、香港中文大学のケネス・リー教授。STAP論文がネイチャー誌に掲載されて以降、たびたび再現に挑戦しては失敗を重ねてきた人物で、以前ウォール紙には「もうあきらめたよ」と話していた。
しかし同氏は今回、STAP論文共同執筆者のひとりであるバカンティ教授(ハーバード大)により更新された手順を試みたところ、STAP細胞の生成に成功したとのこと。その手順を4月1日、研究者のためのSNS『リサーチゲート』に投稿している、とガーディアン紙は報じている。
なお調査委員会は、STAP細胞は存在するのか、という質問に対して、「調査委員会は論文の不正を調べるのが任務。STAP細胞自体のあるなしについて調査するものではない」との回答であったという。
不正は”小保方氏ひとりの行い”と調査委
調査委員会は小保方氏について「データ管理がずさんで、かつ研究者としての倫理観が欠落している」とし、「実験を第三者が正確に再現し理解するのは非常に困難であることが明らか」との結論を発表している。
フィナンシャル・タイムズ紙は、一連の騒動について「小保方氏が若くかつ女性であったことから、報道が芸能人なみのスキャンダルに発展してしまった」と指摘している。
またウォール紙は、「研究倫理への教育が行き届いておらず、研究者達が“結果ありき”でことを進めてしまう」と語る大隅典子教授(東北大)の言葉を伝えている。
英ガーディアン紙は、小保方氏が受けた扱いは一部の科学者達を不安な状況に追い込んだのでは、との見方を示している。フィオナ・ワット教授(ロンドン大)は「小保方氏ひとりをスケープゴートにするのは問題だ。経験の長い科学者達は若い研究者を指導育成する責任があるゆえ、彼女だけにすべてを押し付けて終わりにしてはいけない」と同紙に語っている。
小保方氏「承服できない」
調査委員会の報告に対し小保方氏は「驚きと憤りの気持ちでいっぱい」と代理人を通じ文書でコメントした、と。同文書で小保方氏は、「悪意のない間違いであるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたことは、とても承服できない」と訴えたという。
小保方氏の主張によると、画像取り違えについては「単純なミス」で、画像を改ざんしたと思われるデータについては「より見やすい写真を示したいという考え」であったに過ぎず、いずれも悪意は一切ないとのことである。
このままでは、STAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねないため、小保方氏は近日理研に対し不服申立する意向である、と同紙は伝えている。
リー教授の実験成功が確認されれば、小保方氏には大逆転の追い風となりうるが、今はまだ研究者からの報告のみで外部による検証はないため、今後の続報が気になるところである。