【経済】大都市圏のみ地価微増、地方との格差拡大 アベノミクスの恩恵は一部だけ? NewSphere(ニュースフィア) 2014年3月24日
国土交通省は18日、2014年1月1日時点での公示地価を発表した。それによると東京、大阪、名古屋の商業地地価が平均で前年比1.6%増、住宅地は0.5%増、合計で0.7%増となり、微増ながら2008年以来の上昇となった。2008年には5.3%も上昇していた。昨年は商業地が0.5%減、住宅地が0.6%減であった。
公示地価は全国26000ヶ所を調査しており、最も高価な商業地は銀座(山野楽器銀座本店)の、1平米あたり2960万円であった。
上がったのは一部だけ
ブルームバーグは、住宅価格は東京の中でも、湾岸部と2020年オリンピック会場の一部を含む中央区で8.7%、皇居が位置する千代田区で6%、六本木ヒルズのある港区で5.9%と、上昇幅が大きくなっていることを報じた。
また、川崎市や横浜市の一部でも約3%増となった。全国のマンション販売数も4年連続で上昇し、2013年は105282軒で前年比12%増、平均価格は4170万円で9.2%増であった。商業地についても、2月の東京のオフィス空室率が前年同期の8.57%から7.01%に低下したという。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、2015年に新幹線が開通する金沢の中心部で住宅物件増が見られるなど、3大都市圏以外にも一部、活況を呈している地域もあると報じている。
しかし全国的には、地価上昇はこれら一部の地域だけに限られた。全国平均地価はバブル崩壊から20年あまり、ほぼ一貫して下落し続けており、今回も商業地で0.5%減、住宅地で0.6%減であった。すなわち大都市圏とそれ以外で格差が拡大しているということであり、専門家は地方の人口減少を原因に挙げている。
アベノミクスの不均一な効果
ウォール紙によるとアナリストらは、「安倍の成長志向経済政策の不均一な効果」はデフレ克服にあたって課題を提起する、と評した。金沢新幹線のような「大きな再開発事業か何か」がない限り、地方の不動産市場にとって起爆剤にはならないということだ。
フィナンシャル・タイムズ紙も、大都市での上昇は政府の金融緩和策に支えられた部分もあるが、不動産市場の元々の長期的回復を示してもいる、との専門家の意見を伝えた。さらに、これから4月の消費税増税は「日本経済も不動産市場も殺してしまうと思います」との憂慮もある。
一方、たとえわずかな上昇であっても、心理的効果を期待できるとの声もあるという。ブルームバーグによると、不動産協会の木村惠司理事長(三菱地所会長)は「アベノミクスから感情改善などの効果が見え始めました」とも語っている。今年20%下落していたTopixの不動産銘柄は、10:03時点で0.7%上げとなった。