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【社会】中国で急成長する愛人産業 “対価は現金ではない”その特徴とは  NewSphere(ニュースフィア) 2014年2月10日

 近年中国では、国による汚職取り締まり、また愛人と称する内部告発者によって、役人たちの不倫騒動が次々と明るみに出ている。拡大する愛人産業の背景には、急速な変化を遂げている中国社会の影響があると、海外メディアは分析している。

中国の愛人文化は異色

 ソルトレイク・トリビューン紙によると1月13日、中国のツイッター「シナウェイボー」に、省党校の副学部長だった秦氏の性的な写真が公開されて社会を騒がせた。数日後には当局が、中国南部国営の科学研究所職員の王氏をやはりセックススキャンダルで解雇したことを発表した。

 デイリー・ビースト紙は、保守的なイメージのある中国文化だが“非営利”な不倫がはびこっており、事例証拠を見る限り上昇傾向にあるようだ、と指摘している。中国の愛人文化において異色なのは、取引的な性質、オープンさ、その遍在性であるという。

取引的な性質

 愛人という立場は、対価を得て関係を持つという点では売春に似ている。一方で中国では、対価が現金ではなく高価な贈り物という形で支払われる点において異色であると、デイリー・ビースト紙は指摘する。北京の消費者アナリスト、クリス・ハーゲン氏は「現金が自由を与えるのに対し、マンションのような贈り物は依存関係と、表面上の交際関係を作り出す」と分析している。

ステータスシンボルとしての愛人

 現代の中国において愛人を持つことは自らの地位と富を誇示するものであり、秘密にすることではない、とデイリー・ビースト紙は論じた。まだ新しく生々しい貧困の記憶が、資本主義への転換で与えられた、限られた機会への競争を激化させているのではないか、という。成功した暁には大々的に誇示することで、成果の頂点に立ったことを周囲に知らしめる。愛人となった女性たちは自らの地位の象徴としての高価な贈り物を競い合い、相手の男性たちは愛人のステータスシンボルとなる贈り物を提供することを競い合っている。

都市部での遍在性

 都市化によって多くの人民が沿岸都市に押し寄せた。技術のない若い移民女性が経済的保証を得るために、愛人という立場を選択する場合が多いという。強制や脅迫のない、健全な精神状態の大人同士のビジネスであれば、肉体労働や知的能力を売っているのと大差ないのではないか、とデイリー・ビースト紙は論じている。

将来的な懸念

 中国では一人っ子政策、それに伴う男児を好む傾向により男性の人口が著しく増加している。予測では、2030年までに30代男性の4分の1以上が結婚できない見込みだという。

 人民が伝統的な政治思想を信じなくなり、冷たく堅固な金の論理を好むようになった現状は、共産主義イデオロギーと政府が目指す“調和的社会”から程遠いという。人々は急速な社会変化の現状についていくことが精いっぱいで、未来を考える余裕はない、とデイリー・ビースト紙はまとめた。

 40歳男性と不倫関係にある20歳の大学生アイリス(仮名)さんは、「彼と一緒にいないときは彼のことも2人の将来のことも考えない。ただ人生を経験しているだけ」と語った。

提供:NewSphere(ニュースフィア)