【海外】日本・ASEAN、対中「共同戦線」なるか? 中国の分断戦術に対抗へ NewSphere(ニュースフィア) 2013年10月11日
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議が9日、ブルネイの首都バンダルスリブガワンで開かれた。安倍首相は、フィリピン、ベトナムなどのASEAN加盟国と中国が領有権を争う南シナ海問題に言及し、「共同戦線を張るよう」求めたという。
フィリピンのアキノ大統領は、「地域の発展は、法の支配が存在しない国際環境では実現できない」と強調。ケリー米国務長官もこの考えに同意した。
一方、中国の李首相は、「平和と友好、協力」の南シナ海を呼びかけるも、「紛争は当事国だけの問題である」との見解を繰り返した。
南シナ海をめぐる中国の主張
中国はフィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾、ブルネイと、南シナ海をめぐり深刻な領土紛争をしている。
東シナ海航路は世界の貿易量の半分以上を占め、海底には石油やガスが眠っていると推定されている。中国は1940年代に勝手に描いた「9点破線」に基づいて、南シナ海の80%を占める領有権を主張しているものの、その境界を認める国はない。
一方で先月、中国とASEAN当局者は、2013年から2014年までの南シナ海に関する行動宣言(DOC)の実施計画を採択しており、双方の交渉は一部進展している。
対中強硬派のフィリピン
南シナ海問題について、中国とフィリピンとの緊張が高まっている。フィリピン側は、自国の領海内だと主張するルソン島西方沖にあるスカボロー礁で、中国が存在感を強めていると批判。今年初めには、中国の領有権主張の適法性を調べるよう国連に訴えていた。
米国はスカボロー礁の件で、条約同盟国であるフィリピン側を支援する姿勢だ。
一方中国側は、これら外部の仲裁は紛争悪化を招くとして反感を示している。中国外交部の劉副部長は先月、「地域外の国々の介入が問題を複雑にしている」と発言したという。
なお中国は、フィリピンとの首脳会談に応じていない。全会一致が原則のASEANを「分断」する意図では、とも報じられている。
中国の商業力
ASEANにとって中国は最大の貿易相手国だが、中国にとっては3番目の貿易相手国である。李首相は9日、中国・ASEAN自由貿易圏の「アップグレード版」を構築するプロセスを開始すべきと述べ、2020年までに貿易額を2倍以上の1兆ドルに増やすよう呼びかけた。
雲南省社会科学院東南アジア研究所の朱振明副所長は「中国と東南アジア諸国には深く伝統的な友好があり、外部の力に左右されることは難しい」と、人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙に語ったという。