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【龍馬プロジェクトリレーコラム】

第55回 地方創生に望むこと (2015/5/29 坂根栄六/龍馬プロジェクト全国会 関西ブロック)

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「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。京都府宮津市議会議員で龍馬プロジェクト全国会 関西ブロックの坂根栄六氏による「地方創生に望むこと」をお届けします。

◇        ◇

 テーマに沿わずとりとめのない話になるかもわかりませんが、意図するところをくみ取っていただければ幸甚に存じます。

 さて、4月の全国統一地方選挙も終わり、地方創生の今後5カ年のまち・ひと・しごと創生の総合戦略が手がけられようとしています。「地方こそ成長の主役」をうたった安倍総理の自民党ポスターの通り、今度こそ地方の希望の光となり得るのか、地方創生に大いに期待したい状況があろうかと思います(数年前は地域主権をうたった民主党にも多くの国民が期待しましたが、結果はご承知の通りです)。地方を何とかしたい、今回こそはと期待したい一人ではありますが、地方創生の前に気になることがあります。

 それは、アベノミクスにより、景気が回復傾向で業績が上向いている企業もありますが、私が住んでいる地域では依然実感がないのであります。確かに、宮津市においても有効求人倍率は回復傾向を見せているようですが(※1)、生活が良くなった実感がありません。ただ単に、金融市場が良くなって株取引等をしている人だけが喜んでいるようにしか思えず、私が住んでいる宮津市の状況を見ても(※1)、ただ単に財源というか投資が少なく、消費税増税により物価だけが上がり、実質的に企業業績や労働者への賃金は上がっていないように思います。そのため、就職や仕事の創出、安心安全の暮らしや地域経済の閉塞感、市税収入の減少など未だ様々に影響を及ぼしているように感じます。経済対策の補正予算が出た時には、それなりに公共事業など仕事が増えている感があるように思いますが、それがなくなると再び元に戻るといったその繰り返しで、安定的に景気が上向いていく実感が地方にはないように思います。

 何が言いたいのかというと、アベノミクスによりデフレ脱却という中で緊縮財政と積極財政の双方の財政健全化策の考え方があるとすると、宮津市のような地方においては国の積極財政や地方債の買取的な交付金の創設により、低金利の今だからこそ必要な投資ができる仕組みづくりをしてもらわなければ、実感はこないのではないかということであります。

 宮津市においては、財源が乏しい中で、住民サービスに必要な公共施設の更新や安心安全に関わる多くの自治会要望など修繕や改修しなければならないところが山積みです。積極財政によりそういった公共事業の対応も雇用や仕事の創出に多分に効果があり、必要なことです。ましてや災害が起きた時に対応できなくなります。無駄なことではなく、インフラの整った都市部のような感覚で、公共事業に対するバラマキといった安直な考え方には疑問を感じます。

水路の土砂堆積

水路の土砂堆積
この水路が溢れると街の中下流域に浸水の被害が出る要所。予算がないため一部しか除去できず。

 そういった一面もある中、地方創生についてですが、総合戦略を策定し地方創生を成すとしても積極財政が必要であるように思います。

 さて、官邸が出している資料(※2)のまち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」の5ページの基本目標(2)「地方への新しいひとの流れをつくる」の中に、現状で年間10万人超の東京圏への人口流入に歯止めをかけ、東京圏と地方の転出入を均衡させるとあり、2020年までに地方への転出を4万人増加、東京圏への転入を6万人減少といったことが記載されています。

 政策パッケージには、地方移住の推進、企業の地方拠点強化、企業等における地方採用・就労拡大、地方大学等創生5カ年戦略となっています。

 私はこれまで「子供たちが戻ってこられる環境づくり」をテーマに人財の流出の課題を提唱し、その解決策として大学等高等教育機関の地方留学(学年移転)、企業インターンシップ等の政策を主張してきたわけですが、地方創生の政策の位置づけとして、これを実施すべきだと考えます。(※3、※4)

 国が私学を含め都市部に集めた大学等高等教育機関の学年を地方に移す政策を出すだけでも人口の分散となり、東京の人口の転出入の均衡の目標は達成されるとともに、都市部から地方に学生が一定期間移住するだけでも、その地での食費や家賃等の生活費が地域経済に貢献し、子どもとお年寄りが多く若者層が少ない地方の若い力の補完ができ、地方創生の一助となるものと考えられるのではないでしょうか。また、学生は都市部と地方を体感することで、日本の有り様を勉強することができます。

 このことを理解して実施してくれる方が増えることを祈っているところですが、実は、最近になってその実例が出てきています。京都北部・近隣の福知山市において、京都市内にある京都工芸繊維大学の学年の一部が移転する話が出てきました。つまり、1~3学年前半までは京都市内で機械システムやデザインなどの専門的知識を学び、3学年後半からは福知山市で地域課題をテーマに研究を深め、ものづくり企業が立地する府北部の利点を生かし、学生にインターンシップも体験してもらうという、「都会に出た後、地元に帰るプログラム」となっているということであります。

 国のいう地方創生を成功させるにも、いろいろな手法を組み合わせて知恵を絞り、その地域にあった施策を考えていかないといけませんが、基本目標(2)「地方への新しいひとの流れをつくる」において、上記の仕組みを理解し実行する大学等高等教育機関が増えることと合わせ積極財政をお願いしたいものです。

大学数と学生数

大学数と学生数

 最後に、ご批判やご意見がある方もあるかと存じますが、意をくみ取ってご理解いただいた方には、ぜひこの大学等高等教育機関の学年を地方に移し、人口を分散させる政策を各地域に導入するよう広げていただければ、地方の急速な過疎化の激変緩和の一助になるかと思います。

参考リンク
※1 みやづ経済ダイジェスト平成27年1月~3月
※2 官邸資料
※3 前回の掲載記事「第37回 子供たちが戻ってこられる環境づくりを!」
※4 坂根栄六ホームページ
坂根栄六著者プロフィール
坂根 栄六(さかね えいろく) 宮津市議会議員
1978年2月20日生まれ。宮津市字須津出身。宮津市立吉津小学校・与謝野町宮津市組合立橋立中学校・宮津高等学校普通科卒業。
2000年3月 愛知学院大学商学部卒業(在学中、中部学生馬術連盟幹事長 体育会馬術部副主将)。その後、会社員を経て、2009年9月 衆議院議員秘書。
2010年7月 宮津市議会議員初当選、2013年6月 総務文教委員会副委員長、2014年7月 宮津市議会議員2期目当選、2014年7月 産業建設福祉委員会委員長、2014年8月 与謝野町宮津市中学校組合議会副議長
HP:坂根栄六公式サイトblog:えいろくちゃんが行く 活動ブログ きばるで~(DAY)facebook

坂根栄六氏プロフィールページ

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