【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「やっぱり議員になってよかった」】
第30回 議員だからできること (2013/12/20 草間剛/龍馬プロジェクト)
「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「やっぱり議員になってよかった」の第2回は、横浜市会議員で龍馬プロジェクト全国会 関東副ブロック長の草間剛氏による「第30回 議員だからできること」をお届けします。
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『2011年33件、2012年19件、2013年5件※1。』年々減っていくこの数字は、横浜市が把握している、市内の古紙持ち去り被害通報件数です。
※1 2013年9月1日現在
横浜市内では、資源集積場所に集められた古紙の持ち去り被害が後を絶ちませんでした。持ち去り業者は集積場所にトラックを横付けして古紙を無断で積み込み、住民から注意されると制限速度も赤信号も無視して猛スピードで逃走し、登校中の子供たちにとっても、大きな危険材料でした。
昨年、2012年5月の本会議で「資源ごみ持ち去り禁止条例」(横浜市廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例の改正)を横浜市会初の委員会提案条例として議員立法したあと、市内の古紙持ち去り件数は、僕らの狙いどおり減少し始めました。
国も規制できない、県も、県警も対応できない、市の行政も罰則付きの対策に躊躇(ちゅうちょ)している中、議会主導で県内で初めて行政回収、集団回収ともに罰金対象とした持ち去り条例を、1年間議論を繰り返し、視察を重ね、僕ら議会サイドが制定しました。「立法を通じて地域課題を解決できる!」という実感を、僕ら自民党だけでなく、多くの会派、また多くの市民の皆さんが実感した取り組みだったと思います。
僕が横浜市会議員に立候補した大きな理由、議員になりたかった理由は、立法を通じて地域の課題を解決していく、愛する横浜をよりよくできる仕事が唯一、「議員」だったからです。
これまでの地方議会は、市長の政策をただ賛成するだけの「追認議会」が大半でした。2011年に機関委任事務が全廃され、地方議会の権限が大幅に広がり、「地域のことは地域で決められる」法的背景が備わったにも関わらず、地方自治法で、地方議員の役割と明記してある条例制定も、自治法制定後半世紀以上行使されることもほとんどなくなく、全国で地方議会そのものの存在意義が問われていました。
僕は、大学・大学院・大学院の研究所時代の約10年間で徹底的にこの問題を調べました。21歳の大学院時代には、本当に教科書や偉そうな学者の先生方が言っていることは正しいのか実証するために、岩手県江刺市(現在は合併して水沢市)で現地の議員の皆さんと、全国初の「えさし地産地消推進条例」の制定を実践しました。
議会で条例が制定された時、約1年間泊まりがけで立法に取り組んだ、自分の親より年上の議員が、「初めて議員らしいことをした、本当にありがとう」と泣きながら言った言葉が、僕の原点です。
あれから10年が経って、僕は今、議員として「一番古い」とオンブズマンから言われた横浜市会の当選1期生として、志高い先輩たちと一緒に立法に取り組んでいます。6月には、「横浜市災害時自助・共助推進条例」を初めて事務局長として取りまとめ、提案者を代表し議会答弁を行いました。今も2本の条例案を実務者として取りまとめています。
「議会が立法を通じて課題を解決できる」というインパクトは、市民の議会・議員に対する眼を変えさせます。議員は単なる「お願い系」の陳情相手でなく、立法者、制度を変えられる対象者であるとして向き合う市民や団体が増えてきたと、自ら実感しています。
議員立法はそう簡単にできません。政策的な妥当性だけでなく、感情論や思想、政治的プレッシャーなど、制定までには多くの乗り越えなくてはいけないハードルがあります。だからこそ、条例を制定し、運用し、課題であった問題が解決していく様子を確認できたとき、『やっぱり議員になってよかった』と思うのです。僕らは今の制度でも、もっとできることがあります。
- 著者プロフィール
- 龍馬プロジェクト全国会 関東副ブロック長 草間剛(くさま つよし):1982年横浜市生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了後、早稲田大学マニフェスト研究所入所(所長・北川正恭元三重県知事)。神取忍参議院議員公設第一秘書を経て、2011年、横浜市議会議員に初当選(議会最年少・自民党市会歴代最年少)。インターネットTV「日の出TV」木曜日担当(第6回マニフェスト大賞受賞)。「かながわ新人地方議員会議」共同代表。自民党神奈川県連ネット選挙対策プロジェクトチーム事務局長。
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