【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「日本の政治のここが問題だ!」】
第23回 日中関係の改善に向けて (2013/8/30 國場幸之助/龍馬プロジェクト)
「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「若手政治家が考える『日本の政治のここが問題だ!』」の8回目は、衆議院議員で龍馬プロジェクト国会議員参与の國場 幸之助氏に、今の「政治」への提言をしていただきました。
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「かつて先輩がやったような中国の運命に形成に日本も参加するような行き過ぎをやっちゃならんということです。中国という偉大な民族の英知を信頼してね。ちゃんと礼儀正しい付き合いを通じて、平和共存を守っていく。表向きの外交がどうのこうのという前に、信頼感が根本になくては」(1970年6月 大平正芳)
「言論NPO」が今月まとめた日中両国での世論調査で、相手国に否定的な印象を持つ人が、調査開始以来、最悪になったそうです。日本は、90.1%、中国は、92.8%が、相手国に対して「良くない」「どちらかというと良くない」と、答えています。
今の日中関係は、国交正常化以来、最も険悪な関係と言われています。だからこそ、国益を堅持しつつ、状況打開と関係改善を図る――そんな使命感を感じながら8月11日から14日まで、超党派の若手国会議員9人で訪中しました。8月12日は、日中平和友好条約締結から35周年の日でしたが、両国で記念行事はありませんでした。ですから、我々の訪問団が、唯一の交流事業であったと理解しています。
訪問先は、将来の中国共産党幹部を輩出する共産主義青年団、党の外交を担当する中央対外連絡部、外交部、中国国際戦略学会などでした。公的な会談や非公式の意見交換など、さまざまな場で議論を交わす機会があり、私は3つの主張を訴えました。
1点目は、「日中間で、領土問題は存在しないが、外交上の見解の相違は存在し、事態は深刻になっている。しかし、武力的解決は断固避けなければならない。日中国交回復を成し遂げた先人から学ぶ知恵があるとすれば、あの世代は戦争体験者であり、戦争の悲惨さ、残虐性を肌身でわかっていたからこそ、平和確立への信念と使命感があった。その教訓に学ぶとすれば、偶発的な軍事衝突になりかねない尖閣海域への連日にわたる中国公船の領海侵犯は一刻も早くやめるべきである」と。
2点目は、「領土を巡る見解の相違があるにせよ、さまざまなレベルでの交流事業、対話のチャンネルは断絶すべきではない。特に、一刻も早い、首脳会談の開催は急務である」と。
3点目は、「中国国内でも禁止されているサンゴ採取船への取り締まりを強化すべきで、そのための日中間の連携は必要だ」と。
それぞれ、中国側の立場表明はありましたが、特に尖閣諸島を巡る話になると、「この問題は人民感情に照らし合わせても矮小化できず、ここを避けて、対話のための対話をすることは、意味がない」と異口同音に話していました。日本側も皆同様な立場であり、対中関係をより深く考察する契機となりました。
また、今回の訪中で気付いたこともあります。まず、中国は、安全保障に関する超長期戦略を持っているということです。2050年までに達成すべき目標など、日本にはない視座でした。
さらに、過剰にアメリカを意識し、「日本は過度に右傾化傾向にある」と繰り返していましたが、その背景には、被害者意識を強く感じました。また、日本語を駆使する高官達も、日本の外務省のチャイナスクールの様に、中国本国では「親日」だと、肩身の狭い想いをしているという悩みを聞きました。
報道でもご存じの通り、今回の訪中で、中国人民解放軍系のシンクタンクである中国国際戦略学会が、尖閣諸島を「核心的利益」と述べたことは、私も含め日本の国会議員として到底容認できないことであった。しかし、中国が隣国であるという事実は変わらない。今回の訪中を通じて、いかに中国と、個別の問題が全体に影響を及ぼさないように努力し、発展させていく「戦略的互恵関係」を構築していくかが、日米同盟を前提とした日本外交の課題であると、日中関係の現場を抱える沖縄県選出の国会議員として痛感させられた。
- 著者プロフィール
- 國場幸之助(こくば こうのすけ):1973年1月10日 那覇市に生まれる。祖父は國場組創業主 國場幸太郎、大叔父に元衆議院議員國場幸昌(6期:1970年~1989年)父は幸治、母は悦子の長男として誕生。1997年3月早稲田大学社会科学部(比較政治学専攻)卒業。2000年6月、第8回沖縄県議会議員選挙において11,598(イイコクバ)票をいただき、沖縄県議会史上初の 20代議員としてトップ当選を果たす。2003年11月、第43回総選挙出馬。2004年6月、第9回沖縄県議会議員選挙で那覇市区より2期目の当選を果たす。2008年9月より自民党沖縄県第1区支部長。2012年12月、 第46回衆議院議員総選挙に出馬し、当選を果たす。現在、自民党公認沖縄県第1区衆議院議員。
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