【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「日本の政治のここが問題だ!」】
第19回 広い視野と時間軸を持った政治を (2013/8/2 南出賢一/龍馬プロジェクト研修・政策委員会)
「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「若手政治家が考える『日本の政治のここが問題だ!』」の第4回は、大阪府泉大津市議会議員で研修・政策委員会の南出賢一氏に、今の「政治」への提言をしていただきました。
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ぼくが政治家を志したのは、危機感と使命感からでした。地場産業である毛布をはじめとした繊維産業が衰退し、まちの特色がどんどんとなくなる中で、若者が流出し、財政は大阪府下でワーストに近い。将来、自分たちがまちを担っていかなければならないのに、政治の場に若者が1人もいないという状況に危機感を感じ、「なんとかするぞ!」という使命感1つで2007年の泉大津市議会議員選挙に出馬したことがスタートでした。
結果は、史上最高得票を頂きトップ当選。人物を知ってもらう活動を展開し、ビジョンと政策を語り続けたことや、若さへの期待も大きかったでしょうが、「おじいちゃんに世話になった」という声を驚くほど多く頂きました。祖父は約10年前に他界しましたが、60年ほど前に製粉会社を興し、商売をするだけではなく、人のため、まちのためにわが身を省みずに汗をかいていたことを、いろんな方からお聞きし、また出てきた手記からも知ることができました。実家はやたらと人の出入りが多かったことを思い出します。
きっと祖父の生き様をみて、「あそこの孫なら信頼できるだろう」と多くの方から応援して頂けたのです。先祖のやってきたことが恩恵として降りかかってきた。頂いた恩恵は、周りや未来に対して返すための「使命」であると思います。今、何をするかで未来が変わる。先人や、今の子どもたちが大きくなった未来に思いを馳せて、胸を張って誇れる生き方をする。自分の心には嘘はつけませんから。
しかし、実際に政治の世界に飛び込んで感じることは、議論が目先のことに終始し、時間軸が感じられないことが多いということ(縦軸)。もう1つは、自分の有権者、わがまちのことという狭い視野でしか考えていないという、大局的な視点の喪失です(横軸)。
このような政治がずっと続けられてきた結果、市民の政治家に対する感覚(特に、これまでの議員を応援してきた有権者)は、「御用聞き=よい議員」、であったり、「『市役所にずっといる議員』『イベントによく顔を出す議員』=よく仕事をしている議員」というように定着化されています。そこには当然、将来を見据えた時間軸など存在しません。今さえよければ、自分にとってよければという政治に、有権者をもそうしてしまってきたという側面を否めません。
また、グローバル化といわれる時代、海外に学びに行ったり、全国の先進事例を学び、ネットワークを築きながら、地域還元していこうという外に出向く活動スタンスは、「地元のことを考えていない」「他の議員はそうじゃない」と批判をされたものでした。当然、そこには、国家観をもって地域を考えるという大局的な視野など存在するはずもありません。
しかし、日本国が安定してこそ、泉大津市が存在できるように、日本国という船が座礁してしまえば当然、泉大津市も座礁してしまいます。広い視野からかじ取りをする政治、時間軸を持った政治。全体や将来にとって重要なのは何か、という当たり前の視点を持った政治が、当たり前に理解される風潮をつくらねば地方も日本もダメになる。
「何とかするぞ!」という使命感と「やればできる!」という希望を持って、地道な活動を続けてきた結果、大切な視点に気づいてくださった方も増えました。ですが、「2・6・2」と言われるように、情報発信による啓蒙啓発では無関心層の打破には限界があります。そこで、「おもしろい・夢がある・わくわくする」をキーワードに、住民を巻き込んだ地域興しを通じて、人々の意識を変えていく活動をインターンの大学生と始め、少しずつですが主体性を持った住民が増えてきました。関わってくれた人は、大切なことに気づいてくれます。共に汗をかき、共に何かを成す中で、感動や感謝が生まれ、「自分たちの地域は自分たちでつくろう」と。
世の中の風潮が正常化されれば、政治家が選ばれる基準も変わり、まっとうな政治の実現につながるものだと信じています。そのためには、気づいた者、特に政治家からまずは「行動」を起こさねばならないと考えています。
龍馬プロジェクトの創設時のメンバーとして、これまでの活動を通じて、理念や国家観、ビジョンを共有しながら、「何とかするぞ!」という全国の多くの仲間と出逢えたことは、信念を確固たるものにしてくれました。そして、この仲間となら大きなことが成し遂げられると、強い希望を感じています。
1人でも多くの方に龍馬プロジェクトの存在を知っていただき、希望を感じてもらえると嬉しく思います。最後までお読みいただききありがとうございました。
- 著者プロフィール
- 南出賢一(みなみでけんいち) 1979年12月20日大阪府泉大津市生まれ。浪速高校・関西学院大学商学部卒(経営組織論専攻)。学生時代は日本一を目指してボクシングに情熱を注ぐ。卒業後、(株)ニチロ(現 マルハニチロ)に就職。その後、(有)南出製粉所で新規事業を立ち上げ、オンリーワン商品の開発を手掛け、メディアに紹介される。ビジネスマン時代に日本の凋落を感じた経験が、世界の流れから地域を考えるという活動スタンスの礎となっている。2007年泉大津市議会議員選挙において歴代史上最高得票でトップ当選。2011年、史上最高得票を更新しトップで再選。
WEBサイト:南出けんいち|泉大津市議会議員 オフィシャルサイト
ブログ:泉大津市議会議員 南出賢一(みなみで けんいち)
Facebook:kenichi.minamide.3
Twitter:minakenbo
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