無党派無所属ブームの再来と地域政党 (2018/9/12 地域政党「自由を守る会」代表 上田令子)
先の衆議院議員選挙では、「野党第一党か!?」と当初期待をされた希望の党小池百合子代表(当時)の「排除」発言により、国民の希望は、失望そして絶望へと変わり歴史的な惨敗を喫し、本年5月7日に解散。関連して、二大政党時代を築いた民主党の後継政党民進党を事実上解体させるに至りました。
オマケにこの騒動の結果、無所属国会議員が合計50人も誕生。中でも首相経験者の大御所が国会で活発に質疑をする等、ナゾの存在感を示しています。既存の国政政党、従来的な国政政局の形が崩れて、平成最後の統一地方選挙に臨み、世はまさに大航海時代に突入したのであります。
“改革派”首長の特徴
いわゆる「改革派首長」という方々には共通する特徴があります。
- 「和光モデル」と呼ばれる子育て支援(ネウボラ)や、要介護を減らす高齢者対策で名を馳せる松本武洋和光市長
- 東京都職員を辞し財政再建にむけ活躍する鈴木直道夕張市長
- 財政健全化を推進、起債許可団体から脱却を図った熊谷俊人千葉市長
- 人口のV字回復を実現、近年では虐待根絶にむけ5歳児まで市は全ての子どもに会うことを実現した泉房穂明石市長
- そして改革派知事の草分け、上田が副代表を務める地域政党サミット北川正恭顧問(元三重県知事)
幸い、この綺羅星の如し首長の皆様と多岐にわたる行政課題につき時宜を得て、親しく意見交換する機会に恵まれてきました。私から見て、彼らに一貫していると思える共通点は以下の通りです。
- 地域と地域住民最優先
- 無所属で当選し、しがらみがない
- 国政政党・国政政局と一線を画し、時に政府や都道府県とも議論
- 二元代表制を重んじ、議会と対等に向き合う
- 将来に向け、首長が誰になっても大丈夫なように制度を変える・創る
愛媛県・松山市で地域政党が起こした奇跡
平成30年9月2日、第7回地域政党サミットin松山が開催されました。現在、地域政党サミットには10団体が加盟しています。今回の主催担当は、松山市議会最大会派である地域政党「みらい松山」(池本俊英みらい松山代表)でした。「みらい松山」は、加計学園問題や伊方原発再稼働につき政府の責任を論及した中村時広愛媛県知事の市長時代から連携し、野志克仁現松山市長も送り出しています。
首長与党には甘んじず、小池知事にオールイエスのどこぞの自称地域政党とは違い、二元代表制を遵守し是々非々での議会活動を展開しています。当然、この二人の首長は、前述した5つの共通点をお持ちです。今回のサミットでは、著名で実績のある中村知事、野志市長ともにご出席をいただきました。
「地域第一、政策中心、国政自由。国とは対等な交渉」をモットーとされる中村知事は「平成の大合併により3000あった市区町村は1800となり、地方議員も激減。国から地方へと仕事が移って、地方の仕事は増えたのにも関わらず、地域のことがわからない国会議員の人数が増えているのはおかしい!」と開口一番熱く挨拶。
つづく野志市長による特別講演は、日本一防災士のいる松山市の「災害対策」。進取の精神に富んだ施策は、地域住民主導で自助・共助を推進するものです。都よりも財源がないというのにここまでできるのかと目を見張りました。知事、市長とも政局とは全く無縁、パフォーマンスよりも結果を求め、抱えている事務事業に精通し、地域と地域住民しか見ていない姿に圧倒されました。「みらい松山」への全幅の信頼と期待も読み取れました。
舛添前知事に呆れ果て、今度こそ都民最優先に働いてくれる知事を誕生させたいと、自由を守る会はいの一番で小池知事を応援するも、小池ブームが起こるともはや用なしとばかりに解党を迫られ、都議選改選後は「排除」され、文書質問・資料要求も禁止され、質問も検閲されました。どこでボタンが掛け違ったのか。彼我の差を感じ、実に羨ましく眩かった!(笑)しかし、私たちが求めた方向性は間違っておらず、国政政党・政局と一線を画した地域政党と真の改革派首長の関係性こそが、地域に活力を与えていく実例に地域政党の可能性を確信しました。
無党派層の期待は再び無所属へ
私が2007年当選したときも、プチ無所属ブームでした。当時も今も、既存政党に辟易とした有権者、支持政党のない無党派層は改革を掲げる無所属を選ぶものです。国会においても、彼らとしては不本意だったのでしょうが無所属議員が多数登場するに至りました。
あにはからんや、党議拘束から解放され、自由な質疑をする心地よさを堪能されているのではないでしょうか?地域政党を設立した方もいます。これまで政局の荒波に飲まれご苦労されたのですから、従前の国政政党の枠組みの焼き直しではない新しい形をぜひ創り出していただきたいものです。それが実現できれば、地域政党と市長(区長)、地域政党と知事という枠組みにつづき、各地の地域政党と国会議員との是々非々連携もありうるのではないか…と感じています。
ちなみに、現在法的な位置づけが明確となっていないので地域政党も基本的に「無所属」議員であります。自民党ではない選択肢として、民主党政権に期待するも裏切られ、都民ファースト、希望の党にもガッカリ、もう日本国民は偽物改革国政政党にはホトホト嫌気がさしている今こそ、無党派層の受け皿として地域政党が躍進をするチャンスが到来しています。
そして、その後の参議院議員選挙等の国政選挙で、中村愛媛県知事の言うところの「国と対等」にコミットして、地域住民のために共に動かしていく新たな政治の形を地方から創り出すことができるのではないでしょうか?その原動力が地域政党、プラットフォームが地域政党サミットであると確信しております。地域政党サミットでは、統一地方選挙に向けて我こそは!という方の参加を心よりお待ちしております。
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著者プロフィール
上田令子(うえだ れいこ) [ホームページ]
東京都議会議員 地域政党「自由を守る会」代表
都立三田高、白百合女子大卒。外資系生保等数社を経て、起業も。息子が保育園待機児童となったことをきっかけに99年江戸川ワークマム設立。「政治が変わらなければ生活が変わらない」と07年統一地方選初出馬。江戸川区議会議員初当選(44名中6位)。2期目江戸川区議会史上最高記録、東京都の候補全員の中で最多得票の1万2千票のトップ当選。13年東京都議会議員初当選、現在2期目。
上田令子氏プロフィールページ
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- ■地域政党全国連絡協議会「地域政党サミット」
- 地域政党サミットの目的は以下の通り。(1)地域創生を進展させるために共同で活動を展開(2)政策、組織、運営などに関する情報交換を図り、地域政党の先駆けとしてネットワーク化を働きかける(3)健全な二元代表制の実現を図るために地方議員、地方議会の質の向上に向けた情報交換・事例共有・政策研究を推進
- 関連リンク
- 地域政党連絡協議会(地域政党サミット)