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すぐそこまで迫る企業も個人も二股が標準になる時代 (2017/6/27 瓦版

関連ワード : 働き方改革 労働・雇用 

弾力化する職場と雇用のカタチ

新しい働き方として、従来の働き方と一線を画すワークスタイルへの関心が高まっている。企業が変化に合わせるケースもあれば、社員自らが変わる場合もある。こうした動きの中で、確実に進行しているのが、ボーダレス化だ。企業の枠、雇用のカタチ…。職場周辺の旧来の制約を限りなく減らし、新機軸を打ち出すことで、各企業そして、各自が能力の最大化と自分らしい働き方をその手に手繰り寄せている――。

本命でなくとも歓迎する企業の思惑

「導入しないと生き残れない」。2017年1月、複業採用を打ち出したサイボウズの大槻幸夫氏は、その理由をそう明言した。昨今は、就職人気ランキング上位に名を連ねるなど、働き方改革の先端をいく同社だけに、にわかには信じがたいが、それが現実だ。

理由は明白。少子高齢化による人口減少。それに伴う労働人口の減少だ。欲しい人数を確保するのが困難なのはもちろん、「優秀な」を採用する難易度は年々上昇している。そうなれば、企業は自身の魅力を磨き、それをアピールすることが生命線となる。複業採用は、求職者に譲歩した ある意味、苦肉の採用スタイルなのだ。

生き残りのための飛び道具といえる採用だが、その効果はしっかりと現れている。発表半年で、100名以上の応募者が集まり、個性的な人材も多数エントリー。なかには記念受験的なものもあったというが、通常の採用ではお目にかかれないような可能性を感じさせる人材との出会いは激増した。

「もともとは、大企業で勤めていたある人材との採用交渉の過程で、満額は出せない、ならば、パートタイムではどうだろうか、という提案が、当社での複業採用のきかっけ」と明かすように、実施目的のひとつには優秀な人材との出会いもある。条件がうまく合い採用となれば、御の字だが、そうした人材と出会えるだけでも次につながるメリットはある。

複業採用の現状を明かすサイボウズ・大槻氏

複業採用の課題とは

現在、複業採用で数名が勤務している同社。スタートしてみえてきた課題もある。フルタイムでない社員の評価やマネジメントの難しさだ。パートやアルバイトと違い、成果が強く求められる人材。それだけに、アウトプットだけで評価するにしても、ポイントの設定が容易でない。正社員組とのバランスも配慮する必要がある。

それでも同社は、複業採用に大きな手応えを感じ取っている。なによりも、新しい働き方を推進する企業としての認知度がさらに向上。対社内に対しても、そうしたメッセージを改めて強調できた。そして、外部人材流入により、社内で新たな化学反応が起こりつつある。課題は発生したが、いまのことろデメリットはほとんどなく、多くのメリットが得られている。

会社という枠組みを取っ払う形の複業採用は、旧来の価値観では考えられない。社員は会社に忠誠を尽くすもので浮気は許されない。会社もそれに応え、定年まで面倒をみる。だが、いまやそうした仁義は崩壊した。自分の身は自分で守る。良くも悪くもそれが生き残る術だ。企業が門戸を開放し、社員は複数の職場を求める。もはやその主導権は、どちらが握っているのか分からない。

「導入しないと生き残れない」。その言葉をかみ砕くなら、企業は労働力の減少と価値観の多様化した労働市場の中で、出来得る限りの変化をしなければ、欲しい人材には振り向いてさえもらえない時代に突入した、ということだろう(続く)。

提供:瓦版

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