政務活動費使い切らずに返還するケースが相次ぐことの意味は? (2016/7/10 JIJICO)
号泣会見以降、政務活動費を使い切らずに返還するケースが相次ぐ
号泣会見で物議をかもした元兵庫県議会議員に対し、先日、政務活動費を騙し取ったなどとして有罪判決が下されましたが、この事件が発覚したことをきっかけとして、県議会の議員や会派が政務活動費を使い切らずに返還するケースが相次ぎ、返還率(交付された政務活動費のうち使われずに返還された割合)も増加しているとの報道がありました。
政務活動費とは?
そもそも政務活動費については、地方自治法100条14項が「普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。
この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。」と定め、同条15項が「前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。」と定めています。
もともとは政務調査費という名称で純粋な調査費用だったにもかかわらず、平成24年の地方自治法改正により活動費という形で使途が拡大されたのですが、議会の会派ないし議員の政策立案に資するためのものですから、その目的外に使用することは許されません。
多くの自治体でも、可能な限り細かい使途基準を定めることを模索しているようですが、会派や議員の活動が多岐にわたることから、使途基準を定めるといっても、やはり限界があるようです。
また、収支報告書への領収書等添付の義務付けについても、あらゆる支出に領収書等の添付を義務付けるのか、一定の範囲で例外を認めるのかなど、この点が不徹底であったりすると、結局は、使途の追及を免れることになり、目的外使用を許す結果になりかねません。前払い方式自体がその温床ということもできます。
政治家に交付される税金の使途は世間が不断に監視することが大切
全国の都道府県の大半について、昨年度の政務活動費の収支報告書が公開されており、これによりますと、多くの府県では返還率が10%前後であるにもかかわらず、事件のお膝元である兵庫県では、前払い方式から精算払い方式へ変更するなど支出ルールを厳格化したことが効を奏したのか、34%近くにまで上がった模様です。
このような経緯をみるにつけて、やはり政務活動費の目的外使用が横行していたのではないか、号泣議員の事件は氷山の一角に過ぎなかったのではないかとの強い疑いを禁じ得ません。
政治家に交付される税金がどのように使われているのか、世間が不断に監視していかなければならない問題であることに間違いありません。
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