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「百瀬、こっちを向いて。」の「恋届」が1万件突破、流山市が仕掛けるシビックプライド (2014/5/9 政治山)

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 千葉県流山市では、映画『百瀬、こっちを向いて。』(5月10日公開)のロケ地として協力を行ったことを記念し、映画のテーマである「若者が恋をする気持ち」に賛同し、2014年2月14日から「恋届(こいとどけ)」を受け付ける窓口を設置しました。

 受付開始から2カ月半、実際に何人の「恋届」が受け付けられたのか、また、この企画に込めた流山市の思いとは何か、流山市役所総合政策部マーケティング課にお話を伺いました。

「恋届」受付ホームページ

「恋届」受付ホームページ

企画から実施まで1カ月、走りつづけました

――映画とタイアップしたきっかけを教えてください。

「流山市では、映画、TVドラマ、CM等の撮影場所誘致や撮影支援をし、市内外への流山市のPRとシビックプライドの醸成を目指すフィルムコミッション事業をしています。昨年度の撮影実績は50本弱で『百瀬、こっちを向いて。』もその1つです。映画はTVドラマよりも撮影支援してから上映されるまでの宣伝期間が長く、市のPRとしても期待できることから、映画のロケ当初から制作委員会に対して、私たちから公開時にはぜひタイアップをしたいとお願いしていました」

――市が「恋届」を受け付けるということは他の自治体でも前例がないと思いますが、実施に至るまでの過程でどのような課題がありましたか。

「映画のテーマである『若者が恋する気持ち』に、行政として何ができるかを考え、恋愛中であることを証明する『恋届』を企画しました。『婚姻届』は戸籍法の定めに従って受理していますが、『恋届』は公正文書ではないので、恋人同士でも、片思いの人でも恋愛をしていれば誰でも届け出ることができます」

「映画制作委員会と具体的に企画を詰めていったのが今年の1月です。テーマ性から2月14日のバレンタインデーに開始したいと考えましたが、企画から実施まで1カ月しかないため、考えながら、走りながらでした。『恋届』は専用のWebページからダウンロードすることもできますが、役所に直接届けることもできます。他でやっていないことを始めるには多くの調整も必要ですが、実現すれば映画も流山市も双方のPRになると考えていました」

「恋届」は恋する気持ちを少しだけ応援

「恋届」の受付印

「恋届」の受付印

――ネットからダウンロードするのと、窓口で受け付けるのとでは何か違いがありますか。

「ネットも窓口も『恋届』に受付印が押印されます。ネットはダウンロードした日が受付日になりますが、窓口では希望があれば日付の指定をすることができます。結婚記念日や恋する相手の誕生日、5年後の未来の日付を希望する方もいますが、中には江戸時代とオーダーする方も。それだけは対応できなかったのですが(笑)」

――「恋届」の受付状況はいがかでしょうか。

「『恋届』はネット上からも受け付けできるので、企画段階では役所に足を運んでまで届けに来る人がいるのか半信半疑でした。実際は4月28日までの2カ月半で255人を窓口で受け付けています。10代、20代が中心で、カップルが7割ですが、女子のグループ、男子のグループ、母親が子どもの代わりに来るケースもあります。来課された方に話を聞くと半分以上が流山市外からのようです。南は大分から、北は岩手までです。大阪から来られたカップルはこのためだけに流山市に来た、と話されていました。この反響は予想外に嬉しいことです。また、Webサイトへのアクセスは8万PVあり、ダウンロード数が10,000件を超えています(4月末日時点)」

――「恋届」に関してどのような問い合わせがありますか。

「一番多いのは、受け付けしたら紙が回収されてしまうのかという質問です。役所はその内容を認める機関ではなく、あくまでも受付窓口です。ですから、私たちも届け出の中身はなるべく見ないように押印してお返ししています。その他にも、結婚しててもいいのか、相手が実在してなくてもいいのか、2次元は?同性は?などさまざまな相談がありますが、恋愛の形を私たちが決める事はありません。『自分の中の恋心なのでお相手はお任せします』と回答しています。『恋届』は、恋する気持ちに少し背中を押して応援する感じです。実際、映画では、、、、(5月10日から全国公開の映画を見てください)」

――最後に、フィルムコミッション事業を通じて流山市をどのようなまちにしたいと考えていますか。

「この『恋届』については、一部のニュースやメディアで『少子化を食い止めるのが目的』と報道されたこともありますが全く違います。流山市フィルムコミッション事業の目的は、市民が流山市に誇りや愛情を持っていただく気持ちを醸成し(シビックプライド)、市民が喜ぶまち、市民が誇れるまちづくりの一環です。そのためにも、常に新しいチャレンジをし、市の成長力を見せたい、そして住む方々が主役となって暮らせるようなまちになればいいと思っています」

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