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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第25回「県と市町の役割を見直し、新しい民主主義をつくる」(2013/2/27 兵庫県議会議員 越田謙治郎/LM推進地議連会員)

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載・コラム

 政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。9月からは、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を開始しています。第25回目は、兵庫県議会議員の越田謙治郎氏による「県と市町の役割を見直し、新しい民主主義をつくる」をお届けします。

◇        ◇        ◇

 「そもそもこの事業は、兵庫県が直接行わなければならない事業なのか?」──これが県議会議員として活動する中で、私が行政当局に対し、常に投げかける言葉です。

[県と市町で役割分担できていない事例]
・県が一律でルールを決めることにより市町の現場で使い勝手がよくない補助事業
・市町の協力が必要にもかかわらず、市町への十分な説明がないまま進めたために、十分に普及していない事業
・本来市町が行うべき事業を県が行うことで、効果が出ない事業。中には市町が類似の事業をすでに行う事例(いわゆる二重行政)
兵庫県議会議員・越田謙治郎氏 兵庫県議会議員・越田謙治郎氏

 たとえば、兵庫県は高齢者の生きがいづくりを支援するため、生涯学習の場所を提供する「高齢者大学」を県内7カ所で開設しています。しかし、県内すべての市町を調査すると、高齢者対象の生涯学習事業が行われているのです。

 生涯学習を充実させることや、高齢者の生きがいづくりを促進することを否定するつもりはありません。しかし、県の役割とは、市町が行う生涯学習事業を支援すること(たとえば、情報提供や人材育成、カリキュラムの高度化支援)であり、県が直接高齢者大学を開設する必然性はありません。私はさまざまな機会を通して、この問題の抜本的な見直しを訴えています。

 今回のコラムでは、具体的な事例として「高齢者大学」の問題を取り上げましたが、私はこの問題をことさら大きく取り上げたいわけではありません。なぜならば「高齢者大学」は数多くある二重行政の1つの事例に過ぎず、問題の表層でしかないからです。問題の本質は、県と市町との間でそれぞれの役割分担について十分に意思疎通が図られないまま多くの事業が行われているということにあります。

 従来は、たとえ市町に事務負担が生じる県の事業であったとしても、それを事業化するにあたって明確なルールはなく、ともすると、県が事業実施を決定したうえで、市町に対して報告や協力を求める、という印象を受けます。一方で、市町も県に対して要望や陳情を多数行っており、依然として「上下関係」が残っているという印象を受けざるを得ないのです。

 このような中、「県と市町の政策協議の場」(この提案は、第7回マニフェスト大賞『優秀政策提言賞』受賞)を常設し、県と市町が役割分担に対し、常に協議を行うことが必要になってきます。これの設立を目指す目的は、単に「二重行政の解消」という表層的な問題ではなく、「県と市町の新しい関係」を構築することです。上下の関係から、対等なパートナシップに基づいた県と市町との関係へと転換し、1つの課題に対し県と市町が適切な役割分担と責任を分かち合う。これが私の目指す新しい自治、新しい民主主義です。

 今、私には3歳になる息子がいます。彼が大人になるころ、新しい民主主義が構築されている──。それこそが、私たち世代の責任なのです。

著者プロフィール
越田謙治郎(こしだけんじろう):1977年9月6日生まれ。兵庫県川西小学校、川西中学校、履正社高校を経て、同志社大学法学部政治学科卒業。教育関連企業での勤務を経て、2002年10月に行われた川西市議会議員選挙25歳1カ月で初挑戦し、トップ当選を果たす。2006年の選挙では、川西市議会議員選挙過去最高得票を獲得し再選。市議会議員を任期満了まで務め、2011年4月に行われた兵庫県議会議員選挙(川西市・川辺郡選挙区)に、「未来に責任」を掲げ初当選。県議会議員として初めて提案した「県と市町の政策協議の場の常設化」は、第7回マニフェスト大賞において優秀政策提言賞を受賞。2012年4月から2013年3月まで、民主党県民連合議員団政調副会長を務める。
HP:越田謙治郎公式ホームページ
facebook:kenjiro.koshida / twitter:@ KoshidaKenjiro
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