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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第11回「市政に対する市民理解は、まず『議会の見える化』から」(2012/11/14 京都市議会議員 隠塚功/LM推進地議連運営委員)

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載・コラム

 政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。9月からは、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を開始しています。第11回目は、京都市議会議員の隠塚功氏による「市政に対する市民理解は、まず「議会の見える化」から」をお届けします。

財政状況が厳しい京都市

京都市議会議員・隠塚功氏 京都市議会議員・隠塚功氏

 京都市は2003年に「財政危機宣言」を発しており、市庁舎整備基金から100億円の借入、公債償還基金の取り崩し、行政改革推進債の発行など、特別の財源対策に依存した財政運営を行っています。また、高齢化の進展に伴う福祉関係費の増加や多様化している市民ニーズへの対応、地下鉄や市バス事業における経営健全化計画の推進など、京都市政は現時点でも大変厳しい財政状況にあります。今後についても、生産年齢人口の減少による市民税の減少や橋梁・道路の老朽化および耐震化対策、上下水道の老朽管対策などのインフラに対する維持補修経費の増大など、財政状況がいっそう厳しくなることが予想されています。そういった理由から、既存事業の見直しは必至であり、また効率・効果の見える事業の推進が求められているのです。

 しかし、既存事業の見直しは簡単なことではありません。それだけに、実行していくためには多くの市民理解を得るしかないのです。そのため「市政の見える化」を進め、政策判断の過程を市民に見えるような取り組みが必要であり、またそのことへの工夫が求められていると考えています。それを行政判断だけでなく、市民目線で具体化することも必要であり、それができるのが地方議員だと私は考えています。

「議会の見える化」へ、私たちができること

事業仕分けの様子 事業仕分けの様子

 議会に対する市民からの評価は残念ながらまだまだ低く、まずは議会への信頼を取り戻すことが必要となっていると考えています。京都市会ではこれまでから、市会改革推進委員会を設置し、「できることから改革を進める」との考えで取り組んできましたが、それだけでは信頼を取り戻すには至っていません。

 そこで、議会基本条例の策定を遅ればせながら進めています。どのような議会を目指していくのか――。会派間で議会基本条例の認識にまだまだ差があるのは否めませんが、そのことを全議員が共通認識として持ち、市民の皆さんにもその取り組みが理解されるような議会基本条例を策定することによって、議会の見える化、そしてその先に議会への信頼へとつながる取り組みを進めたいと考えています。

 私たちの会派「民主・都みらい京都市会議員団」では、会派による事業仕分けを2009年から実施しており、11月13日には市民判定人方式を採用して実施しました。また、2012年度からは、会派による議会報告会を議会基本条例に先立つかたちで、会派の議員全員が参加し、定例会終了ごとに各行政区で順番に開催しています。ここでは、5つの常任委員会の報告と市会改革推進委員会の報告をするとともに、参加者からの市民意見を聴取しています。

市議会で壇上に立つ隠塚氏 市議会で壇上に立つ隠塚氏

 これらの取り組みは、市政の見える化と決定過程への市民参加につながると考えており、こうした取り組みを広げていくことから、市民の市政への関心を高めていきたいと考えています。

 このほかにも、民主党京都府連の取り組みとして作成した府連マニフェスト「新・京都スタイル」に基づいて、会派版マニフェストを2011年の統一自治体選挙前に作成しました。この取り組み状況を会派で作成する議員団ニュースに掲載したり、民主党京都府連のホームページに発表したりするなどして、約束したマニフェストに対して私たちの会派がしっかりと向き合っていることを理解いただくための取り組みも進めています。

 1つひとつでは小さな取り組みであっても、その積み重ねが議会への理解につながると信じています。まずは「隗(かい)より始めよ」。議会全体の取り組みでなくても会派としてできることを率先して進めています。

著者プロフィール
隠塚功(おんづか・いさお)京都市議会議員:信金、ゼネコンなどの勤務を経て35歳で京都市会議員に挑戦するも次点で落選。まちづくりや環境団体での市民活動にも従事しながら挑戦した2回目の選挙で当選。「1人ひとりの想いを大切に、市民参加の市政実現に全力投球!」と訴えて、議員活動に取り組む。現在3期目。今期は市会運営委員会副委員長、まちづくり委員会副委員長、市会改革推進委員会副委員長を兼務して京都市会の改革に取り組む。
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