気仙沼メカジキで地方創生―復興応援 キリン絆プロジェクト (2016/11/25 日本財団)
食でつなぐ新しい街づくり
ブランド化推進委、東京で発表会開催
宮城県気仙沼市の気仙沼港はメカジキの年間水揚げ日本一を誇っています。このメカジキの魅力を大いに発信して地方創生、震災復興につなげていこうと、気仙沼の水産業にかかわる団体や市などが連携した「気仙沼メカジキブランド化推進委員会」が昨年始動しました。委員会は11月16日東京で、「メカジキで地方創生! ~食でつなぐ気仙沼の新しい街づくり~」と題して発表会を開き、これまでの活動報告と併せて、メカジキの解体ショーや実食を通して「食の街 気仙沼」をアピールしました。
気仙沼メカジキのブランド化の事業は、東日本大震災の復興支援としてキリングループが推し進めている「復興応援 キリン絆プロジェクト」の一環です。キリンビールマーケティング株式会社は委員会に支援金を助成し、日本財団は事業の総合調整に当たっています。
この日は開会に先立ち、気仙沼の海で取れたばかりのメカジキが、笛や太鼓の祭りばやしの音楽が流れる中、ステージ前の特設台に運び込まれ、メカジキと一緒に来賓、主催者、イベント協力者、気仙沼の漁業関係者代表らの記念撮影が行われました。気仙沼市の観光キャラクター「ホヤぼーや」君も加わりました。
山本幸三・内閣府特命担当大臣、橘慶一郎・復興副大臣の各来賓あいさつの後、菅原茂・気仙沼市長が主催あいさつをしました。菅原市長は「フカヒレやカツオは既に世に出ているので、震災復興の中で、また地方創生の中で、私たちが子どものころから、こよなく愛したメカジキこそ次に気仙沼が産み出す商品ではないか、ということでブランド化推進委員会を始動させていただきました。私たちの年代ですと、カレーライスの材料はメカジキでした。豚肉に代わったのは小学校に入ってからではないでしょうか。それだけ気仙沼ではなじみの深い魚です。私たちはもう十分食べました。日本全国の方に、そのおいしさを味わっていただければ本当にありがたいと思っています」と述べました。
その上で菅原市長は「私たちは5年8カ月前に大変大きな災害に遭って、ある意味、いったん絶望せざるを得ませんでした。気仙沼の復刻計画の副題は『海と生きる』を標榜しています。気仙沼で生きていくことはどういうことか、ということを考えれば考えるほど、海とのかかわり、その恵を信じて復興を成し遂げ、気仙沼の繁栄を築く、そのことに一生をかけていかなくてはいけないと今思っています」と話しました。
続いて、気仙沼商工会議所会頭の菅原昭彦・気仙沼メカジキブランド化推進委員会委員長が活動報告に立ち、この事業のビジョンや背景、現在の課題などを解説。気仙沼市魚市場の生鮮メカジキの水揚げ量は全国70パーセント以上のシェアを誇り、日本以外の国でも非常に多く食されていることを紹介しました。「ということは加工品にしたら海外展開も可能かもしれない、という夢も持たせてくれる食材でもあります。ところが残念ながらメカジキ=気仙沼という認知度が低い現実がある。メカジキを一つのツールとして、メカジキ=気仙沼の認知度を上げ、おいしいものを食べに行くなら気仙沼へ、という構図をつくり、観光客だけでなく料理人も遊びにくるような『食の街 気仙沼』。そういう地域にしていきたいと思っています」と抱負を語りました。菅原委員長はメカジキの動画を2本つくり、「気仙沼メカジキ本」も2回発行したことなども併せて説明しました。
この後、最初に運び込まれた気仙沼直送のメカジキが出席者の目の前で解体され早速、会場を移して試食会が行われました。東京駅前の新丸ビル7階 丸の内ハウスの飲食店9店舗では16日から23日までの8日間、気仙沼メカジキを食材としたオリジナルメニューの提供や、同ハウス内のライブラリーではPRポスター、パネルなどの展示が続けられます。
ことば解説【メカジキ】
気仙沼メカジキブランド化推進委員会制作・発行の「気仙沼メカジキ本」によると、メカジキはカジキの仲間で、カジキ類の中ではとても大きく成長する魚。剣のように前方に突き出した「吻(ふん)」と呼ばれる鋭い部位が特徴。漁の際は船上で切り落としておくのが通常。温かい海域に分布し、多くは中・南太平洋に生息。大きいものは全長5メートル、体重400キロを超えることもある。気仙沼市水産課によると、2015年の気仙沼港のメカジキの水揚げは2681トン。全国の漁港の中では2位を大きく引き離している。
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