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安倍政権の評価を背景に自民が高支持、ネット選挙は候補者のHPに信頼感

第10回政治山調査「参議院議員選挙とネット選挙に関する意識調査」(3/3) (2013/7/4 政治山)

関連ワード : ネット選挙 全国 参院選 調査 

ここまで、参院選に向けた投票意識や、今回の選挙から解禁されるネット選挙に関する意識を調査した結果をお伝えしてきたが、ここでは発足から約半年が経過した安倍政権を全国の有権者がどう評価しているかを調査した結果をご紹介していく。

約6割が安倍政権を「評価する」と回答

 今回の調査では、安倍政権半年を全体(総合)のほか個別の政策ごとに「高く評価する」から「まったく評価しない」までの4段階で評価していただいた(選択肢として「分からない/判断できない」も用意)。その結果が、下のグラフ9Aだ。

graph9A

 まず「総合評価」から見ていこう。安倍政権を「評価する」と回答したのは「高く」と「やや」を合わせ61%にのぼった。特に「高く」が12.2%となっており、これは個別の政策の評価と比べてみても最も高い数字である。また、「まったく評価しない」は8.4%だったが、これも個別の政策の評価と比べ一番低い数字だ。安倍政権は全体として高い評価を得ている一方、失敗していると見ている層が少ないことが分かった。

 では、個別の政策の評価はどうだろう。1ページ目グラフ2で紹介した参院選で重視する政策でダントツ1位だった「景気対策」を見てみると、「高く」と「やや」を合わせ57.0%と、高い評価を得ている。この「景気対策」への評価が、総合評価にも好影響を与えているとも考えられる。

 次に評価が高かったのは、「高く」「やや」で50.0%だった「外交政策」だった。この政策は「高く」が12.0%と個別政策では最も高い割合となった。「やや」(38.0%)も「景気対策」の次に高い数であり、多くの評価を集めている。ただ、相対的に低い数となったものの、「あまり」と「まったく」の「評価しない」との回答も42.5%あり、視点によっては厳しい評価をしている層が存在することも確かなようだ。

 評価が高くなかった項目を見てみると、「あまり」「まったく」の合計で、「雇用対策」が63.3%、「原発再稼働容認」は61.8%、「教育制度見直し」が60.6%となったほか、「復興支援策」も59.8%と、約6割が評価していなかった。特に、「原発再稼働容認」は、「まったく評価しない」が29.6%と約3割に達し、一部の有権者の反発が強かったことをうかがわせる結果となった。

自公支持層の9割が安倍政権を「評価」

graph9B 高い評価を得ていることが分かった安倍政権だが、年代別の違いはあるだろうか? グラフ9Aの「総合評価」を年代別に見たのがグラフ9Bである。これを見ると、すべての年代で「評価する」(「高く」「やや」の合計)が5割を超えている。

 年代別の特徴を見ていくと、全体で12.2%だった「高く評価する」が20歳代と50歳代で14%台に伸長。40歳代では「高く」「やや」の合計が64.5%と平均を超えていた。一方、「まったく評価しない」を見てみると、50歳代と60歳代で平均を上回る11.3%、11.0%となっており、この年代層で厳しい評価をする層が他の年代よりも多いことが分かる。

graph9C 次のグラフ9Cは、グラフ9Aの「総合評価」を1ページ目グラフ1で紹介した支持政党別に集計した結果だ。一目瞭然だが、安倍政権は自民党・公明党支持層から非常に高い評価を受けていることが分かる。「高く」「やや」を合わせた「評価する」の割合は、実に91.6%である。

 一方、自民党、公明党以外を支持政党とした人(非自公支持層)と、「支持政党なし」とした人の「評価する」に関する結果はともに計47.4%となった。ただ、「評価しない」の部分で差が出ており、非自公支持層は「あまり」と「まったく」を合わせ50.0%となっている。

 また、「支持政党なし」の「評価しない」は計39.2%だったが、「分からない/判断できない」が13.4%となり高い割合を示した。支持政党がないいわゆる“無党派層”は、こうした評価自体にも慎重になっている可能性もありそうだ。

安倍政権への評価が投票行動に影響

graph10 では、こうした安倍政権への評価は、参院選の投票行動に影響を与えるのだろうか? 選挙区と比例区、それぞれへの影響を聞いた(グラフ10)。その結果、選挙区と比例区で大きな差は見られなかったものの、双方で6割近くが「影響する」と回答した。

 「大いに」と「多少」を合わせると、「影響する」としたのは選挙区で57.3%、比例区で58.1%。評価の影響が大きいとこがうかがえるが、投票先が候補者と政党でほとんど差が出なかったのは、候補者と政党を分けて捉えていないことの表れだろうか。

 一方、「影響しない」としたのは「あまり」と「まったく」を合わせても、選挙区で9.9、比例区で10.1%に留まった。それぞれで約1/3を占めた「どちらとも言えない」を「影響を考慮する可能性がある」と捉えると、現政権の評価が、さまざま選挙の投票行動に影響しているということもできそうだ。

◇       ◇       ◇

 7月4日からいよいよ、日本で初めての「ネット選挙」がスタートする。今回のネット選挙の利活用が、今後の選挙戦の礎となることは間違いない。安倍政権の好(高)評価を背景に、自民・公明両党は「ねじれ」を解消することができるのか。また、支持率の低下が伝えられる政党は、インターネットをどう活用し、どこまで回復できるのか。7月21日までの選挙戦に注目したい。

(政治山:二木頼之)

 

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