第4回自治体アンケート
公共料金の値上げは断腸の思い――政治山自治体アンケート (2014/5/30 政治山)
政治山では消費増税に対する地方自治体の取り組みを調査するため、インターネット上でメールアドレスが取得できた全国884自治体を対象に、4月10日から30日に「消費税増税に伴う自治体の取り組み」に関するアンケート調査を行った(回答数76)。
<調査方法>
調査対象:全国1,788の地方自治体のうち、メールアドレスが取得できた884自治体
送信方法:スパイラル(R)を用いたWebアンケートフォームによる回答(調査表はコチラ)
調査期間:2014年4月10日~4月30日
回収状況:送信数884件/有効回答数76件
◇ ◇ ◇
今年4月1日から消費税が8%となり、17年ぶりに税率が上がった。政治山では、増税直後の4月に、家計に敏感である既婚女性を対象に政治山調査を実施。引き上げられた分の税収の使途について、「社会保障」と正しく認識していた人は4割に留まり、増税分の使いみちについて必ずしも国民に認知されていないことが浮き彫りとなった。
また、消費税率を引き上げるにあたり実施した給付措置に関してたずねると、「子育て世帯臨時特例給付金」については、子どもを持つ回答者に限ると、同制度を「利用する」と7割以上が回答。同制度の受益者には周知・利用されていることが分かり、ターゲットを絞った広報活動がうまく機能していると考えられる(詳細は第17回政治山調査を参照)。
この給付措置ついて、いくつかの施策の窓口となっており住民と接する機会の多い地方自治体に、住民の関心についてアンケートを実施。自治体のウェブサイトからメールアドレスを取得できた884の都道府県市区町村に調査を行った結果、76自治体から回答があった。
「子育て世帯臨時特例給付金」は35.5%、「臨時福祉給付金(簡素な給付措置)」は26.3%の自治体が住民の関心が高いと回答しており、支給対象者は限定されているものの、問い合わせや手続き等において住民の関心の高さがうかがえるのだろう。住宅ローン減税、自動車減税ついては半数以上の自治体が「分からない」と回答している。
また、自治体で独自に行っている取り組みとしては、地域振興券発行にともなう補助が最も多く、保育料の負担軽減や、上下水道使用料や公共施設利用料を据え置いた自治体もあった。
消費増税で、公共料金への反映と条例改正に苦慮
今回のアンケートでは選択式の回答のほか、自由回答も募集した。「今回の消費税率引き上げに際し、対応に苦慮されたことをお聞かせください」に対する特徴的な回答を抜粋して掲載する。
※各コメントは、自治体や担当者個人が特定されないよう一部、政治山による編集を行っています。
【今回の消費税率引き上げに際し、対応に苦慮されたことをお聞かせください】主な回答
- 公共料金への反映と、住民への周知
- 自治体が料金を設定している事項について、消費税分を上乗せするかどうかの判断に苦慮した
- 施設使用料や水道・下水道・浄化槽使用料の改正(引き上げ)による住民生活への影響を考えると、断腸の思いで対応した
- 公共料金が一斉に値上げとなると、住民生活に多大なしわ寄せが懸念された。このことから、上下水道使用料、公共施設使用料など、仕入れなどが絡まない公共料金については据え置いたが、給食費のように仕入れで3%の負担がかかるものについては、その分の値上げをさせていただいた
- 施設料金に係る条例・要綱等の改正がたくさんあり苦慮した。8%から10%へ変更する予定もあるため、2度の改定は議会への説明が困難
- 関係条例、規則の改正
- 間近に消費税10%引き上げを控え、施設利用料関係は10%に併せて引き上げを検討することとし、今回の引き上げは断念した
- 今回の消費税増税に伴い、料金システムのプログラム改修が必要となった
- 公共施設の使用料、学校給食費等について、住民負担を増加させないよう、人件費等のコスト削減をおこない調整したこと
- 複数年契約の委託業務に係る増税分の契約金への反映や相手方との調整等
- 税収が落ち込むなかで消費税率が引き上げられ、予算編成(財源確保)に苦慮した
- 使用料等への転嫁について。近隣市との均衡を考慮して据え置いた
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