[名古屋市]認知症の方とその家族を地域で支えよう! (2015/10/12 あんびるえつこ)
この記事は「広報なごや 千種区版『月刊こあらっち』平成27年10月号『認知症の方とその家族を地域で支えよう!』」を紹介し、コメントしたものです。
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まだ私の子どもたちが幼児だった頃の話です。私の母は横須賀からたびたび上京し、手伝いに来てくれていました。でも、帰る時には子どもたちは決まって大泣き。さみしがって仕方がありませんでした。私も仕事をしているので母に手伝ってもらえると助かるし、東京に出てきて近くに住んでくれないかと頼んだのですが、何度頼んでも母は頑として応じてくれなかったのです。「お友達がたくさんいるし、慣れたところに住んでいたいから」と。
私も年を重ねるごとに「住み慣れた町」の良さがわかってくるようになりました。母は今もその住み慣れた町に住み続けています。幸いなことに、心身ともに元気でいてくれるのですが、何かあった時、このまま住み慣れた町にいられるようにしてあげられるか、不安になることがあります。
名古屋市千種区は、26年度モデル事業として、お年寄りが「住み慣れた町」で暮らしていけるよう、認知症に関する取り組みをされているということです。
認知症初期集中支援チームと認知症地域支援推進員を配置して、認知症サポート医の助言・指導のもと支援を行ったり、家族が利用できる医療・介護サービスなどをわかりやすくまとめた「認知症ケアパス」を配布したり。いざ「認知症かもしれない」と気付いた時、どこに相談すればいいのか、どんなサービスが利用できるのかなど、わからないことだらけですから、こうした取り組みは心強いものです。
認知症は、10年後には全国で約700万人、65歳以上の高齢者のうち約5人に1人がなると言われている身近な病気です。「住み慣れた町」でずっと過ごすことができるよう、各地域での取り組みがますます重要になってくることは間違いありません。名古屋千種区の先進的な事業は参考になりそうですね。
広報なごや 千種区版「月刊こあらっち」には、「懐かしの映画会と回想法講演会」の告知も載っていました。「回想法」というのは、昔を懐かしく思い返して、楽しく話したり歌を歌ったりすることによって脳を活性化させ、認知症予防をしようという心理療法だそうです。私も母とゆっくり昔話でもして、「回想法」で脳を若返らせてあげようかな…。
- [筆者]「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事 あんびるえつこ
- [参考]広報なごや 千種区版「月刊こあらっち」平成27年10月号