民法改正により約款規定制定 その内容は!? (2018/10/4 企業法務ナビ)
はじめに
現代社会において、よく事業者側が提示する「利用規約」というものがあります。いわゆる約款と言われるものですが、この約款については民法上の規定が無く明確なルール下で運用されていませんでした。そこで、2020年から施行される民法の債権法改正によって「定型約款」が規定されました。
定型約款とは
定型約款とは、定型取引において、契約をする際に準備された契約内容をいいます。また、定型取引とは、不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であって双方にとって合理的なものをいいます。例えば、消費者がアプリを利用する際に必ず同意が求められる「利用規約」がこれに当たるとされています。
この定型約款に契約の相手方が合意することで契約が成立することとなります。合意した場合とは、(1)当事者間で定型約款を内容とする合意をした場合と(2)定型約款を準備した者があらかじめ定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示した上で取引に入った場合の2つのケースがあります。これによって、約款の細かな条項について明示的な合意が無かったとしても当該約款に対して合意したとみなされ、簡単には約款の効力を否定することができなくなる可能性があります。
このように定型約款の要件と効果を定め、ルールを明確にしました。
コメント
今後、企業としては、「利用規約」を大量の取引において迅速かつ明確なルールの下で使用しやすくなります。ただし、注意も必要となります。それは、改正民法では、定型取引を行う前又は合意した後、相手方から定型約款の内容を示すよう請求があった場合に、定型約款準備者(※主に事業者が予想される)が正当な理由なくその請求を拒んだ場合には、定型約款の条項の内容は契約内容とならないと規定しました。
これによって、web上に利用規約を開示している企業側としては、すぐに約款を開示できる状況がありますが、紙媒体で利用規約を扱っている企業としては、相手方に対して常に開示できる準備をしておく必要があるといえます。
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