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優秀人材が埋蔵する時短ワーカーを発掘し、有効に活用する4大ポイント (2018/4/25 瓦版

関連ワード : 働き方改革 労働・雇用 

多様な働き方が救う人手不足という難局 Vol.1

埋蔵人材発掘でクリアする人材不足

人手不足が職場に蔓延している。人口減少フェーズにあることがその大きな要因だ。だが、実は、埋蔵している人材がかなりの数に及んでいる。埋もれている理由は様々だが、そこに目を向け、ケアするだけでも職場の労働力の厚みを増すことは可能になる。

都市

5,208件の求人に対し、対応できる人材は3,664人。求人倍率に換算すれば、1.42倍。社会の現状を反映する厳しい数字といえるが、“ある部分”を緩めるだけで、その数字は、0.09倍となる。その差、なんと2桁。ある部分とは、求職者の労働日数。前者は週5日のフルタイムでの募集。後者は、週4日以下での募集だ。

数字は、2018年1月末時点のパーソルテンプスタッフの求人・登録者データベースから集計したもの。歪ともいえるこうした状況を受け、パーソルテンプスタッフは今春、週5日フルタイム以外の雇用を促進する「フレキシブルワークの導入支援サービス」を開始した。

長年フレキシブルな働き方の領域に携わり、今回新たに同サービスを開発した同社ダイバーシティ第一事業部の引間利英氏は、その目的を次のように解説する。「昨年後半あたりから、週5日フルタイム以外のいわゆる時短での求人ニーズが増え始めている。やはり、希望の人材を採りづらいことがその背景にある。一方で、時短ワーカーの管理面に不安を抱える管理職も少なくなく、その導入を支援するサービスを開始した」。

時短ワーカーの活用のポイントを指南する引間氏(左)と安岡氏

時短ワーカーの活用のポイントを指南する引間氏(左)と安岡氏

直接的には人手不足が要因となり、ニーズ増につながった形だが、時短ワーカー自体の活用は珍しくはない。それでも、現場レベルでは、時短ワーカーへの偏見も少なくなく、導入にブレーキをかける間接要因となっている。マネジメントの観点では、逆に配慮し過ぎるという側面もあり、十分に時短ワーカーを活用しきれていない現状がある。

「時短ワーカーに対し、スキルの面を不安視する声も少なくないですが、昨今はむしろ、週5日フルタイムの労働市場は未経験者の割合が増加傾向。一方で、時短ワーカーは正社員など、もともとはフルタイムで働いていた方で、子育てなどの事情で制約はあるものの能力自体は高い人材が豊富にいます。うまく活用することで、効率的に労働力を高めることは十分に可能です」と引間氏。

では、時短ワーカーを有効に活用するにはどこに注意すればいいのか。引間氏のアドバイスと同社で実際に時短勤務者のみの営業部を立ち上げ、当事者としてもその実状を熟知するダイバーシティ第二事業部部長の安岡忍氏の知見をまとめると、大きくは次の4つのポイントに集約される。

1:関係者への紹介。役割・働き方の共有

時短ワーカーは、雇用形態にもよるが、「パートさん」や「派遣さん」と一括りにされがち。しっかりと個人として紹介し、どんな働き方・役割でどんな業務に携わっているか、など社員同様に評価/対応する。それにより、結果的に社員―時短ワーカー間の相互理解が深まり、業務がスムーズに進めやすくなる。

2:情報共有の徹底

当たり前のことのようだが、時短ワーカーは出勤日が少ないだけでなく労働時間も短いことがある。そうすると、朝礼・終礼で情報伝達している場合にどうしても抜け漏れが発生する。チャットツールなどによる議事録配信など、フォロー体制の確立は必須だ。時短ワーカーの送信メールの署名に、勤務時間や出勤曜日を明記しておくなどのちょっとした工夫も、業務円滑化を後押しする。

砂時計

3:業務の可視化/標準化

基本勤務時間より短時間の勤務だからこそ、何を、何件、どのくらい時間をかけているのかを可視化しておくことが重要になる。それにより、時短勤務をする側は後ろめたさを感じることなく業務を遂行でき、周りのメンバーも納得の上で快く、帰社を受け入れることができる。その上で、業務を標準化し、時短ワーカー不在時でもスムーズに対応できるようにしておけば、ストレスは大きく軽減されるだろう。

4:コア・ノンコア業務の分解

社員では混在しがちだが、時短ワーカーでは、コア業務/ノンコア業務を分解することで、人員配置が最適化できる。時短ワーカーには優秀な人材も多く、コア業務を任せられるケースも多い。ワーカーのモチベーションキープにもつながり、求人効果も高まる。一方、ノンコア業務を切り出すことで、社員はコア業務に集中し、時短ワーカーがノンコア業務を集中的に行うことで効率化が図れる。組織全体の業務効率化にもつながっていくだろう。

上記以外では、管理職の場合、定期的に意見交換の場を設ける、中期的視点で受け入れる、などを意識することで、現場の抵抗感を軽減。より機能的でダイバーシティな職場を育むことへ近づけるだろう。この先、社員における時短労働も増大必至だが、その予行演習としてまずは人材派遣を活用し、時短ワーカーを受け入れてみるのも一案かもしれない。

今後、さらに加速する人口減少。すでに人手不足倒産は顕在化しているが、もはや企業は選ぶ立場にない。埋蔵人材を掘り起こす職場環境の整備を早い段階から抜かりなく実施し、人の問題で経営が立ち行かなくなるという最悪のシナリオだけは回避した方がいいだろう。(続く)

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