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相続でトラブルにならないために事前に家庭内で準備すべきこととは? (2018/1/1 JIJICO

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年末年始といえば、帰省してご実家に戻られる・あるいは親戚の方と会う機会が増えることが多いのではないかと思います。久々に会って親や親戚の遺産の話で出てきてトラブル勃発・あるいは再燃、ということをしばしば聞きます。超高齢化社会で、寿命が延び・その間に介護問題も出てきて、それがのちに相続トラブルにつながるケースも見られます。

遺言書

相続でのトラブル発生を防ぐためには?まずは財産の把握から!

それでは、こういったいざ相続になったときにトラブルにならないように事前に家庭で準備できることといえば、どういったことがあるでしょうか?ここでは一番身近な親族である、親にまつわる相続トラブルを防ぐという観点からみてみます。

まずは、親の財産の棚卸しをしてみたり、負債を含めて財産目録を作ってみる・相続関係図を作ってみることで、将来相続が発生したときどんな問題が出てきそうか、あらかじめ予測してみるとよいでしょう。

最近は市販のエンディングノートや遺言書キットに財産一覧や相続関係図が作成できるようなものが付いていたりしますので、そういったものを利用するといいです。

特に親の財産に不動産があって、

  • 将来空家になる可能性がある
  • 山林で誰も継がない可能性がある
  • 親の代かそれ以前から遺産分割されないままになっている不動産がある

というような場合は、今後どうするか事前によく家族で話し合いをしておくべきでしょう。

財産管理のための任意後見・法定後見制度の活用も視野に入れよう

相続に関連してのトラブルでありがちなのが、相続人の一人が何ら権限なく事実上親の財産を管理していて、その間のお金に使途不明金があるときです。

一番いいのは、まだ親が元気で、自分の財産管理ができているうちに、将来誰に財産の管理を託すか決めてもらい、財産管理の委任契約や任意後見契約(将来親が認知症などになったとき委任を受けた人が家庭裁判所に申立をして監督する人を選んでもらうというもの)を作っておくことでしょう。

任意後見契約の場合は必ず公正証書を作成し登記をすることになりますから、あとあと財産管理に関するトラブルを防ぐには一つの方法だと思います。ただ、任意後見の場合、親が判断能力が低下しても後見監督人という人の選任なくずるずると財産管理が行われるケースがありますので、委任を受けた人に任せきりにしないことが必要です。

親がすでに任意後見で行うのが難しいときは法定後見制度によることになります。親族によるお金の管理をめぐる問題が多い現状から、親族が後見人等になることが認められなかったり、後見制度支援信託制度といって、日常使用しない一定額を信託銀行等に預けることを前提とされることが最近は増えています。

相続対策のための遺言書作成も重要

他方、将来相続トラブルになりそうな場合には、遺産の処分などについてあらかじめ親が元気なうちに遺言書の作成をしておくことで少しでもあとの紛争を予防できる場合があります

よくあるご相談で相続トラブルになりやすい事例としては、

  • 再婚などしていて家族関係が複雑な場合
  • 相続人の間の仲がもともと悪かったり、相続人の配偶者が口出しする可能性がある

など、将来不和が生じる可能性がある、などが挙げられます。

ですから、こういったケースに当てはまる場合には、親に遺言書を作ってもらうことを検討するのも必要です。

遺言により、それぞれの実情にあった形で財産の処分ができますし、財産を残す人の想いが尊重され、紛争が防げるとも言われています。

よく利用されるのは公正証書遺言(公証人の前で話し、作成してもらう遺言)と自筆証書遺言です。それぞれのメリット・デメリットがありますので、 遺言者を作成する人のニーズに応じてケースバイケースでどういった形で遺言書を作るのがいいか決めることになります。

いずれにせよ、紛争防止になる遺言書でないと作った意味がなくなるので、内容はよく吟味する必要があります。また後で遺言書に書かれた内容に不満が出たりすることを防ぐ上でも、家族でよく話し合っておくことも大事です。

提供:JIJICO

著者プロフィール
片島 由賀/弁護士

片島 由賀/弁護士
島根県松江市生まれ 学習院大学卒業 平成19年3月 東京大学法科大学院修了 平成20年 弁護士登録(広島弁護士会) 法律業務全般を取り扱っています。 (離婚問題、相続、財産管理・遺言、交通事故、借金問題、退職・職場環境、その他) 広島弁護士会 人権擁護委員会(両性の平等部会)、民事・家事委員会、消費者問題対策委員会、弁護士業務妨害対策委員会、生存権擁護委員会、広島県中小企業家同友会(中支部)

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