社員が成長する“いい会社”のつくり方 (2017/4/25 瓦版)
人材が育つ企業の社長が明かすその極意
昨今は“いい会社”づくりに熱心な企業が増えている。人口減少フェーズの真っ只中、優秀な人材を確保し、育成。さらに活躍してもらうためだ。とはいえ、単に働きやすい制度を充実させればいいわけでない。正解のない取り組みだけに、各社は試行錯誤を繰り返す。上質なフォトブックを提案するコンテンツワークス(株)は、優秀な人材が集まる企業として知る人ぞ知る存在だ。極意はあるのか…。同社社長の荻野明彦氏に聞いた。
企業によってさまざまな“いい会社”の定義
“いい会社”とはどんな会社だろうか。働きやすい会社、居心地のいい会社、休みの多い会社、給料のいい会社…。ズバリ、どれも正解だ。なぜなら、いい企業の意味は、企業によって異なるからだ。正解は、各企業が社風や欲しい人材、サービス内容などを総合的に勘案し、導き出すしかない。
コンテンツワークスでは、いい会社の定義を「成長できる会社」とする。それは単に、各自が業務をこなすだけでなく、自らの意志でプラスアルファを加えたアウトプットができることが当たり前の会社といえるだろう。
荻野氏が解説する。「『成長できる会社』がいい会社。ただ、それは環境を与えたからできるわけではなくて、そもそも当人が成長意欲をもっていないとダメ。そうでないと仕事だって楽しめない」。会社は成長できる環境を与える。だが、入社すれば成長できるかは別問題。当然だ。だから同社では、入り口となる採用にこだわる。会社にあった人材をトコトン見極める。当たり前のことだが、多くの企業はここで躓く。
高いマッチング精度を実現するヒミツ
同社が高いマッチング精度を実現できる秘密は2つある。ひとつは、面接のときに使用するスペース。そして、面接のスタイルだ。荻野氏が説明する。
「面接のときに弊社ショールームを活用するのですが、その雰囲気で、学生は感覚的に自分に合う合わないがある程度分かると思います。いいフィルターになっているのではないでしょうか。あとは、学歴よりも人柄を重視します。一緒に働くメンバーとしてどうなのか、という部分にフォーカスしています」。
アートなつくりのフォトブックが並ぶ、木材を多用した温かみのあるスペース。そこは、同社の事業を言葉なしで“体感”できる空間だ。会社のことをよく分からずに面接に臨んだ学生なら、自分に合うか合わないかを感覚的に判断できる。その上で、面接では学歴などは参考程度に先入観を排除し、ワークショップ形式の共同作業を通じ、人柄を見極める。シンプルだが抜かりないこの2重のフィルターで互いの相性を丁寧にチェック。この部分がしっかりしているから、同社は“いい会社”であり続ける。
相性を見極めた末に受け入れた新入社員に対する歓迎の仕方も独特だ。同社にはいわゆる入社式はない。あるのは「入社します式」だ。その名の通り、新入社員が主体となり、先輩社員に気持ちを表す式典だ。
「新卒の社員は、社会人としてはゼロの状態。これから先輩社員にいろいろ指導してもらいお世話になるのだから、自分を知ってもらい、指導のお願いを自ら行なってほしい。だから入社します式。これをきっかけに社員のコミュニケーションが深まることにも期待しています」と荻野氏はその狙いを明かす。
採用してやるではなく、一緒にいい仕事をしよう――。本気でそう考え、見極める。上から目線でなく、学生にはどうしても社会の先輩に劣る部分がある。そこを踏まえた上で、社風に合うかを審査する。学歴を排除し、純粋なフィルターで濾すから、会社にフィットした純度の人材だけが残る。会社規模の違いはあれど、まさに手作業による選考が、同社のらしさを維持しながら、しっかりと成長する組織づくりへつながっている。(後編へ続く)
◇ ◇
【会社概要】
社名:コンテンツワークス株式会社(英表記:Contents Works Inc.)
所在地:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-4 Daiwa神保町ビル5F
代 表:代表取締役社長 荻野 明彦(おぎの あきひこ)
資本金 :1億円
設 立 :2001年2月15日
営業開始 :2001年2月15日
事業内容 :コンテンツ配信、販売サイトの開発・運営・管理、
ブックオンデマンドを含むコンテンツの販売、
コンテンツに関する企画、制作およびコンサルティング業、
書籍・雑誌の編集・販売
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