地銀 常陽銀行がテレワーク導入に踏み切った理由とは (2017/4/14 nezas)
最近、ニュースでも取り上げられる機会が増えた「テレワーク(在宅勤務)」というキーワードがある。従来、「働くということ」=「職場に出勤すること」という考え方が一般的であったが、その常識が大きく揺らぎつつある。日本の企業はもちろん、世界中でもテレワークの波が確実に押し寄せているのだ。
そうした中、めぶきフィナンシャルグループの常陽銀行は、2017年1月4日より子育て中の行員らを対象に在宅勤務制度を試験的に開始した。新しい働き方であるテレワークが注目される理由や意義、今後、仕事と生活がどのように変わるのかを考えてみよう。
地域経済のインフラとしての「地銀」の使命
常陽銀行では企業の社会的責任として「地域経済活性化」「地域貢献」「地域密着型」などを掲げていて、地方経済のインフラを担う金融機関としての使命を長年にわたり果たしてきた。
具体的には、地域社会・経済を支える存在となっている地場中小企業の経営を後押しするため、多様な施策を行ってきた。会社のライフステージに応じた資金支援の推進をはじめ、地域経済の活性化や地方創生を目的としたファンドの設立、ものづくり事業者や食品関連事業者に向けた企業フォーラムや商談会の開催などがある。
それは地域に営業基盤があり、顧客である個人、中小・中堅企業などの金融ニーズにきめ細かく応えてきた地銀ならではの取り組みといえるだろう。
待ったなしの労働力確保の問題
今回、常陽銀行が行ったテレワーク導入は、国が推進する「働き方改革」の流れを受けて実施されたものといっていいだろう。
少子高齢化社会が急速に進む現代日本社会において、働き手の確保は逼迫した問題となっている。国が掲げている「一億総活躍社会」や「女性活躍社会」は、将来に向けて労働人口を維持するため必須な取り組みだといえるだろう。
これまで、女性の働き手の多くは子育てのライフステージに入ると、リタイアを余儀なくされてきた。働き手を確保するため、企業や地域社会などが連携して、この労働人口の流失をいかにして抑えていくかが重要である。他方で、限度を超えた長時間労働も問題になっている。ワークライフバランスの重要性についても改めて問われているのである。
働く環境を改善し、仕事とプライベートのバランスを考えて、働き手の健康と生活の充実を図っていく取り組みが求められる。このようなワークライフバランスの考え方が、ひいては日本社会の少子化の流れを食い止める重要な要素にもなっていくと考えられている。
テレビなどの報道では、大手企業でのテレワーク実施を頻繁に取り上げるようになった。しかし、企業のテレワーク導入の多くはまだ定まった形はなく、仕事とプライベートを両立させるための積極的な妥協点を見出そうとする段階にあるといえるだろう。
モデルケースとして地域への波及が望まれる
今回、常陽銀行がスタートさせたテレワークは、企業内での育児短時間勤務制度を利用している子育て世代の行員を対象に、希望者を募って実施されている。
業務用タブレット端末を対象の行員に貸し出して、日報作成業務などを自宅での育児や家事の合間に行えるようにした。テレワークの利用状況をみて、対象業務の拡大も検討していくということだ。
ITを活用したテレワーク導入の取り組みが進み、検証、改善されることでモデルケースになる。こうしたワークライフバランスの考え方が、地域社会へも広く浸透していくことが強く望まれている。
提供:nezas
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