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2016年の主な政治的出来事 (2016/12/23 ロシアNOW

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 露日関係やシリアでの戦争から汚職やドーピングのスキャンダルに至るまで、ロシアNOWは、ロシアと何らかの関わりのある2016年の最も印象的な政治的出来事をリストアップしてみた。

日露首脳会談

日露首脳会談の様子(首相官邸ホームページより)

シリア作戦

 2016年3月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2015年9月に始まったシリアでの作戦は「おおむね遂行された」と述べ、自国の軍隊の一部を撤収するよう命じたが、事実上、ロシアは、シリア紛争への参加を継続し、ロシア軍の支援を受けて、シリアのバッシャール・アサド政権は、自国の領土の一部を奪還することができた。

 一方、米国その他の西側諸国とともに、ロシアは、再三にわたりアサド政権と反政府勢力を和解させる努力を行い、2月27日、露米の仲介のもとで停戦が告げられたが、この停戦は、アレッポをめぐる熾烈な戦闘が勃発した数ヶ月後の7月に破綻した。

 ロシアは、米国とともに和平プロセスの再開を試みていたが、交渉は失敗し、戦争は継続した。2016年末までに、シリア第2の都市アレッポは、政府軍の支配下へ移った。また、3月、ロシア航空宇宙軍は、イスラム国(IS)の戦闘員たちから古都パルミラを解放するシリア軍を支援した。しかし、12月、テロリストらは、シリアとロシアがアレッポへ戦力を集中させた隙に再びその町へ侵入した。

ドーピング・スキャンダル

 リオデジャネイロ五輪開幕まで一月足らずの7月18日、世界反ドーピング機関(WADA)の委員会は、ロシアのドーピング検査機関の元所長グリゴリー・ロドチェンコフ氏の証言などに基づいたロシア・スポーツ界におけるドーピングに関する報告書を公表した。それによると、ロシアのスポーツ界は、まさにドーピングまみれであり、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)は、ドーピング検査の陽性サンプルを隠蔽するためにスポーツ省および連邦保安庁(FSB)と協力していた。WADAの主張によれば、ロシアのスポーツ選手らは、ロンドンやソチの五輪でもドーピングを行っていた。

 ロシア当局は、ドーピング・スキャンダルへの関与を否定している。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)は、報告を非常に重く受け止め、ロシアは、五輪から完全に締め出されかねなかったが、結局、それでもやはり出場した。もっとも、全員の出場が許されたわけではなく、陸上の全選手のほか、過去にドーピングの問題があった選手の出場は一切認められなかった。12月、WADAの調査チームの責任者リチャード・マクラーレン氏は、報告書の第2部を公表したが、それによると、ロシアの1千人以上のスポーツ選手がドーピングを行っており、今後、IOCと国際競技連盟が、ロシアもしくは個々のアスリートに対する制裁に関する決定を行うことになる。

下院選挙での「統一ロシア」の勝利

 国家会議(議会下院)選挙における与党「統一ロシア(ER)」の勝利をサプライズとは呼べまい。ウラジーミル・プーチン大統領の息のかかった同党は、参加するすべての選挙で勝利を収めてきたのだから。しかし、9月18日、ERは、定数450のうちの343という記録的な数の議席を獲得し、同党が事実上単独で法律を可決できる圧倒的多数を確保した。

 前回の選挙(2011年)とは異なり、今回のERの勝利は、大規模な抗議を呼び起こさなかったが、もしかすると、それは、政権が公正で改竄や違反のない選挙の実施に努めたせいかもしれず、違反は見られたものの、2011年と比べてかなり少なかった。

 ただ、今回の下院選挙の投票率は、47,88%と初めて50%を割り込み、中央選挙管理委員長は、選挙の透明性は確保できたものの選挙に対する国民の信頼を十分に回復することはできなかった、と述べている。

米国との関係の変化

 露米関係は、この一年を通して安定を欠き、比較的平穏な時期と苛烈な言い争いの時期が交互した。両大国の対立のピークは、9月にシリア問題の平和的解決の試みが失敗したのちに訪れた。ロシアは、テロリストらを支援しているとして米国を非難し、米国のホワイトハウスと国務省は、ロシアは独裁者アサドを擁護しシリア国民を殺害していると応じた。ウラジーミル・プーチン大統領は、プルトニウムの共同処分に関する米国との合意の効力を自らの大統領令によって停止し、これによって、核軍縮分野における協力を凍結した。

 しかし、非難の応酬は、11月8日の大統領選挙で共和党のロナルド・トランプ氏が勝利したのちに影を潜めた。選挙戦において、同氏は、ロシアとは協力すべきであり、私は強いリーダーとしてのプーチン氏を尊敬している、と繰り返し発言していた。

大臣の拘束

 近年、ロシアでは、市長、知事、次官らが、汚職事件の被告となることはあったが、現職の大臣が拘束されるというロシア史上初めての事例が、2016年11月14日、発生した。アレクセイ・ウリュカエフ経済発展相は、石油会社「ロスネフチ」から200万ドル(約2億3千万円)の賄賂を強要した罪で拘束された。

 連邦捜査委員会によれば、同大臣は、「ロスネフチ」による他の大手企業「バシネフチ」の支配株の購入に協力しないと脅していた。ウリュカエフ氏の弁護人らは、同氏の拘束は水面下の権力闘争が表面化したものであり、同氏は敵の陣営が仕掛けた罠に嵌ったのかもしれない、と考えている。

 ウリュカエフ氏の拘束を支持する人たちは、政権はついに汚職に対して真に仮借なき「十字軍」を宣言した、と語っている。いずれにせよ、現在、ウリュカエフ氏は、メディアと接触する権利を奪われたまま自宅軟禁の状態で裁判を待っており、同氏は、自らの罪を否認している。

プーチン大統領訪日

 12月、プーチン大統領が11年ぶりに日本を訪問した。これにあわせて日本側からの総投資額が3000億円に上る68の合意に調印がなされた。最重要の成果の一つが、プーチン大統領と安倍首相が南クリルにける共同経済活動についての声明で合意したことだ。

 声明では、露日のリーダーは「南クリル諸島(「北方四島」)における露日の共同経済活動について協議を開始することが、平和条約締結に至る道のりにおける重要な一歩となる、との点で相互理解を達成した」と指摘されている。

 プーチン大統領は日本訪問を締めくくる共同記者会見で、クリルの帰趨について日本を相手とする「歴史という名のピンポン」を止めるよう呼びかけた。両国は最終的かつ長期的な関係正常化に向かうべきであり、クリルにおける共同経済活動は平和条約への前進を可能にする、とプーチン大統領。対する安倍首相は、露日関係は本格的な成長への軌道に乗った、と指摘した。

提供:ロシアNOW

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