民生委員不足が常態化、負担重く定数割れ―横浜市 (2016/11/10 タウンニュース)
生活や福祉に関する地域の身近な相談相手として行政とのパイプ役などの役割を担う民生委員。12月1日の全国一斉改選を控え、横浜市内では定数4156に対し委嘱予定人数が3921人と、235人の不足となる見込みだ。市は「様々な要因が考えられるが、委員の負担増や認知度の低さもその1つ」と分析する。
2017年に制度創設100周年を迎える民生委員は、厚労省から委嘱される特別職の地方公務員で児童委員も兼ねている。市では200~440世帯に1人を基準に配置している。
急速な高齢化や単身世帯の増加などへの対応により期待が年々高まる一方で、高齢者など対象者の増加に伴い民生委員の業務量は増えている。こうした要因から、民生委員は全国的に人手不足が常態化しており、横浜市も例外ではない。
欠員は増える一方
3年に1度の全国一斉改選を12月1日に控え、横浜市内では定数4156に対して委嘱予定人数は3921人。235人の不足見込みとなる。前回13年の一斉改選では、定数4118に対して202人が、10年では4029に対して145人が不足していた。人口増加に比例し定数が増えている現状はあるが、改選を重ねるごとに欠員が増えている。地区ごとの状況を見ると、市内で改選前に定数を満たしている区は18区中栄・泉の2区のみだ(16年7月1日現在)。
民生委員の任期は1期3年。横浜市では年齢の上限を新任・再任共に、74歳までとしているが、60代・70代が約8割を占めているのが現状で、75歳の定年を迎える委員などの比率は全体の約25%にも上っている。
必要支援に支障も
地域で欠員を抱えることは、隣接する地区の民生委員への負担が増えることを意味し、困りごとの発見や解決のための関係機関との連携など、必要な支援に遅れが生じるなどの問題を引き起こす可能性が指摘されている。また、負担増はさらなる不足を生む構造ともなっている。
市担当者は「人手不足は、活動内容の理解度の低さも要因の1つ」とし、活動内容などを紹介する広報パンフレットの作成などの“知ってもらう”取り組みを強化している。今後は、「地域で孤立させないよう、委員の活動をサポートできるような体制づくりを行っていきたい」と話している。
- 関連記事
- 「ずし子ども0円食堂プロジェクト」心の貧困にこそ光を―長島有里 逗子市議
- 住民ゼロからの再出発、1000人の「生きる」意志と選択とは
- 世帯間の所得格差が過去最大に 私たちは今何をすれば良いか?
- 課題解決へ第6期始まる―川崎市幸区区民会議
- 認知症対策、自治体と地元医師会が連携して情報連携ツールの作成・普及を―厚労省