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特区民泊の基礎知識と最新動向まとめ (2016/9/26 Airstair

特区民泊とは

特区民泊とは、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊のこと。特区民泊は正式には「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と呼ばれる。

正式名称では「外国人滞在施設」となっているがゲストを外国人に限定する必要はなく日本人を宿泊させても問題はない。ただ単に、外国人旅客の滞在に適したものであることを求められているだけである。

国家戦略特別区域において外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づき一定期間使用させ、滞在に必要な役務を提供するもの。区長の認定を受けることにより、当該事業については、旅館業法の規定が適用されない。(国家戦略特別区域法 第13条 旅館業法の特例)

《関連サイト》
旅館業法の特例について|内閣府地方創生推進事務局

外国人旅行客

国家戦略特区とは

「国家戦略特区」は民間企業が新しいビジネス展開をしていく上で立ちはだかる規制を大きく改革してこうとするもの。特区民泊を活用した民泊運営のためには、国家戦略特区に指定されているエリアであることに加えて、民泊条例を制定している自治体であることが必須条件になる。

なお民泊条例は「正式には国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例」と呼ばれる。

2016年現在は、東京都大田区、大阪府の一部、大阪市(※2016年秋から実施予定)、北九州市(※2016年中に実施予定)に限られる。

  1. 東京圏(東京都、神奈川県、千葉県千葉市、成田市)
  2. 関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)
  3. 新潟県新潟市
  4. 兵庫県養父市
  5. 福岡県福岡市・北九州市
  6. 沖縄県
  7. 秋田県仙北市
  8. 宮城県仙台市
  9. 愛知県
  10. 広島県・愛媛県今治市

《関連サイト》
国家戦略特区 | 首相官邸ホームページ
国家戦略特区|内閣府地方創生推進事務局

特区民泊の要件

特区民泊を実施するための要件は、国家戦略特別区域法施行令に規定されている。中でもおさえておきたいポイントとしては、「施設を使用させる期間が七日から十日までの範囲内」、「一居室の床面積は、二十五平方メートル以上であること」という要件だ。

国家戦略特区施行令は規制の大枠を定めるだけで、具体的なルールは各自治体で定める条例に委ねられる。特区民泊はすでに東京都台東区と大阪府でスタートしているが、ルールの中身はぞれぞれの自治体の考え方で異なる部分もあるため注意が必要だ。

特区民泊の要件として国家戦略特別区域法施行令では以下のことが規定されている。

◇要件のおもなポイント

契約方法
貸借契約及びこれに付随する契約に基づき使用させるもの。

施設使用期間
7日から10日までの範囲内で条例で定める期間以上

居室の要件
一居室の床面積は、25平方メートル以上であること。
出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
出入口及び窓を除き、居室と他の居室、廊下等との境は、壁造りであること。
適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有すること。
台所、浴室、便所及び洗面設備を有すること。
寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及び清掃のために必要な器具を有すること。

《関連サイト》
国家戦略特別区域法施行令

2016年秋から大阪市特区民泊がスタート

大阪市は2016年1月に民泊条例を可決。また条例可決にあわせて条例案に対する附帯決議も可決されており、条例の施行日は平成28年10月以降になる。なお市民の安全・安心が十分確保できないと認められる場合、条例の施行がさらに延期される可能性もある。

施設使用期間・・・・・・・6泊7日以上※ ※今後2泊3日以上に
近隣住民への周知・・・要説明

《関連サイト》
大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)

北九州市、特区民泊を検討

北九州市は、2016年7月に「民泊」を国家戦略特区事業として始めるため、民泊条例を制定する方針を明らかにした。北九州市はホテルや旅館などの宿泊施設が不足している状況にはないが、バックパッカーなど個人で訪れる外国人観光客が増えており、多様なニーズに対応した宿泊施設が求められていた。

市は地域住民の方々に迷惑をかけないよう十分配慮しつつ、観光・地域振興を図るよう「自然体験」と「地域住民との交流」をテーマに特区民泊を実施し、賑わいのあるまちづくりを推進するという。

《関連サイト》
北九州市の国家戦略特区について

神奈川県、特区民泊を検討

神奈川県の黒岩知事は9月に開催された定例会本会議の中で「国家戦略特区による民泊は有効性がある。可能な地域から特区の活用を進めていく」との考えを述べたと神奈川新聞が報じた。

神奈川県は横浜市など外国人に人気の高い都市を持つが、保健所設置市(横浜市、川崎市、横須賀市、藤沢市、相模原市)では独自に民泊条例を制定する必要がある。神奈川県の民泊条例は保健所設置市には適用されないため注意が必要だ。

提供:Airstair

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