大腸がん検診、内容を知らない人が4割以上 (2016/09/12 QLife)
検診を毎年受けている人は増えているが…
女性のがん死亡原因の1位は何かご存知でしょうか?女性特有のがんではなく、大腸がんなのです。女性に限らず、日本では大腸がんにかかる人がこの30年間で約6倍に増加。その原因として、食生活の欧米化や平均寿命が延びてがんになる人が増えたことなどとされていますが、大腸がんは早期発見・早期治療であれば95%以上が治るといわれています。
そのために、重要なのが、がん検診です。NPO法人ブレイブサークル運営委員会は平成24年度から毎年、大腸がんに関する意識調査を実施しています。今年も、大腸がん検診の対象世代である40~60代の男女14,060人にアンケートを行いました。
その結果、大腸がん検診(便潜血検査)を毎年受けている人の割合は39.9%と、昨年の調査より2.1ポイント上昇。大腸がん検診の一次検査は、便にごく少量の血液が含まれているかどうかを調べる便潜血検査ですが、内容について、4割以上の人が知らないと回答しています。大腸内視鏡検査と答えた人が16%、中には、血液検査、尿検査という回答もあり、検査内容の認知度の低さが浮き彫りになりました。
検診を受けない理由のトップは「費用がかかるから」
一方、「検診を全く受けたことがない」と答えた人は約3割。「費用がかかるから」、「どんな検診内容なのか知らなかったから」、「便の提出が面倒くさいから」などといった理由が挙げられました。
また、「職場の健康診断メニューに大腸がん検診(便潜血検査)がある」と答えた人の77.3%が毎年検診を受けているのに対して、同様の質問で大腸がん検診がないと答えた人は22.5%しか検診を受けていないことが判明。検診の受診率向上には、職場の健康診断メニューも鍵となっていることがわかりました。
国が目標に掲げている大腸がん検診の受診率は50%ですが、現状は約37.9%(平成25年国民生活基礎調査)と下回っています。国立がん研究センターの「2016年のがん統計予測」では、大腸がんは、がん罹患数予測の1位、がん死亡数予測でも2位です。私たち一人ひとりが、大腸がんや検診に関する正しい知識を持ち、積極的にがん検診を受けることが早期発見・早期治療へとつながります。自分や大切な家族の命を守るため、「今年はがん検診受けた?」と声を掛け合いたいものですね。(菊地 香織)
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