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フィンテックと仮想通貨に潜む足かせ、米国で拡がる規制標準化への期待 (2016/8/3 ビットコインニュース

アメリカ連邦準備制度(FRS)のあるエクルズ・ビル

技術面の標準化も重要だが、法規制における標準化が急がれている。米国における仮想通貨のレギュレーションは州ごとに方向性が違い、仮想通貨関連スタートアップは頭を悩ませているのが現状だ。州によって送金事業者免許が求められ、また別の規制が及ぶこともある。これらは規制の複雑化要因となり、普及推進の足かせとなっている。

例えば、ノースカロライナ州、ニュージャージー州、カリフォルニア州では仮想通貨関連スタートアップに対して、通貨送金ライセンスの取得を要求していない。しかしニューヨーク州やコネチカット州では、スタートアップの送金を伴うオペレーションに対して高額なライセンス取得を要求している。この州によっての仮想通貨に対する規制の違いが異なる州間での送金取引ビジネスの障害となっている。

ワシントンDCに拠点を置く仮想通貨NPOのCoincenterは、一貫性をもつ連邦法の必要性を訴えている。

「仮想通貨のようなイノベーションを、州ごとに異なる法で縛るべきではない。コインセンターは一つの解決策として、仮想通貨スタートアップに対して州をまたいでビジネスが出来るよう特殊なビジネス・パスポートの発行を提案している。そうすることで州ごとに対応する必要性がなくなる。そういった州ごとの制限をなくすことでフィンテック・スタートアップが数多くの送金取引が出来るようになり、銀行と同じ働きが期待される。また新たな送金ネットワーク・サービスを構築する事により、イノベーションを呼び起こしアメリカの金融サービスの進化を促すだろう。」

イギリスでは2015年より仮想通貨などの金融イノベーションの市場拡大を見越して、スタートアップに有利になる規制作りを行ってきた。イギリス政府はフィンテック分野のスペシャリストの発掘や育成をしており、また資金提供や情報の共有などの支援を積極的に進めている。

また、政府とフィンテック企業が合同で組織を立ち上げ、国をまたいだ各国共同の金融イノベーション開発にも取り組んでいる。主に韓国、シンガポール、香港などが参加しており、技術者たちは最新のトレンドやテクノロジーを研究テーマに挙げているようだ。これらのアジア各国はこのパートナーシップを通じて独自のイノベーション・エコシステムを形成しており、アジアのフィンテックとブロックチェーン業界において先頭を走っている。

さらに、ヨーロッパではスイスやドイツもフィンテック・スタートアップに寛容な規制作りを進めている。政府からのバックアップもあり、ドイツのフィンテック・スタートアップはロンドンやアメリカのスタートアップより多く資金集めに成功しており、その総額は1600億円に上る。また、スイス政府はビットコインで得た利益に対しての税金を課さないことを決めており、現地のスタートアップにとって追い風となっている。

ほとんどの国で仮想通貨に対する法整備は急ピッチで進んでいるが、現状はまだ多くの課題が残されている。仮想通貨を金融商品として扱うのか、通貨として扱うのかといった論点もそのひとつだ。現在は各国政府関係者も調査の最中で完全に仮想通貨の技術を理解できているのは、仮想通貨のデベロッパーなどの一部関係者だけであろう。

世界各国で注目を浴びている仮想通貨関連フィンテックの成長には、政府の後押しや規制が大きな影響力がある。日本でも来年から施行される仮想通貨に関する法律は、仮想通貨の定義の制定や仮想通貨取引所の免許制度を設けるなどにとどまっている。今後、各国政府の規制の方向性がその国のフィンテック・イノベーションを左右すると言っても過言ではない。

提供:ビットコインニュース

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