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[用語解説]FinTech、フィンテック

フィンテックフィンテックと言いますが… (2016/2/19 政治山)

 最近、メディアなどで急に使われ出したフィンテック。すでにITの世界では当たり前の言葉になっていますが、社会的にはまだまだ新しい言葉です。語感からは水泳のテクニックのようにも聞こえますが、フィンはファイナンシャルから来ている米国発の造語で、直訳すれば金融技術。

 金融とIT(情報技術)を融合した技術革新を指します。ネット決済は当たり前になりましたが、巷で取りざたされているフィンテックはむしろ、その先を行く世界です。

フィンテック イメージ1

リーマン・ショックとスマホ普及がきっかけ

 金融とITの融合はインターネットの発展とともに親和性を深めています。とりわけ2008年秋のリーマン・ショックにより、従来の金融に失望した投資家やトレーダーが新たなトレンドを模索。2007年にアップルがiPhoneを発売後、数年でスマホ革命が世界を席巻したことで、ハードとソフト両面のインフラが整備され、米国では2010年頃からフィンテックという言葉が生まれました。

日本では2014年から使われ始めた新語

 日本では2014年に日経新聞が初めて使用しており、上陸からまだ1年余といったところです。今は、新トレンドの革命前夜と言われています。

 自民党でも2015年末に設立されたばかりのフィンテック推進議員連盟が早速、1月に勉強会を開催。政策にも反映させていこうと情報収集に取り組んでいます。

 では、新トレンドとは一体、どのような技術なのでしょうか。すでに個人で利用されているフィンテックの代表例は、スマホなどによる端末での決済や送金、口座管理などです。このほかに、資金提供者をネット上で募るクラウドファンディングや、楽天・アマゾンなどがネット上の販売データを基に行うオンライン融資などがあります。

将来的な普及が期待される仮想通貨

将来的な普及が期待される仮想通貨
(画像:Bitcoin Digital Currency Soars In Value To $1000 Eachより)

 米国ではスマホに装着した簡易リーダーでカード決済ができるサービスが普及しています。また、アップルが米国で実施している決済サービス「アップルペイ」では、iPhone6の中にクレジットカード情報が入っており、カードを持ち歩く必要がありません。

国内でも仮想通貨を開発中

 ビットコインに代表される仮想通貨も今後、金融イノベーションの主役に躍り出ると期待されています。三菱東京UFJ銀行は、独自の仮想通貨の開発を進めています。実用化されれば金融取引などの管理コストを大幅に節約し、国際送金や振り込み手数料も安くなります。

 すでに現金を持たずにクレジットカードで日々の買い物を済ませている人は多いと思いますが、更に一歩進んでスマホにカード機能を持たせ、更にその先には仮想通貨により決済されるという時代が近づいているのかもしれません。

イラスト 昔の貨幣

日本で貨幣が流通してから約1300年。仮想通貨が現金を駆逐する日がくるのでしょうか

マイナンバーがフィンテック革命のカギ握る?

 国内ではマイナンバーの個人情報を端末で確認できるシステム「マイナポータル」が、2017年1月からサービスを開始します。2018年からの口座紐づけ開始などにより、マイナポータルで個人の資産状況も将来的には可視化できる可能性があり、財形貯蓄やライフプランニングのハブ機能としての役割が期待されます。

 こうした個人データやビッグデータとの密接な連動により、フィンテックは未だ見ぬ領域にビジネスの羽根を広げるポテンシャルを秘めています。

 ドッグイヤーと呼ばれるIT業界では使われる用語の栄枯盛衰も激しく、ひと昔前にもてはやされた「Web2.0」「ユビキタス」といった言葉はすでにその存在意義を失ったと言えそうです。

 フィンテックというIT用語もやがては死語になるのかもしれませんが、現金のない世界が当たり前になるその日まで、もしかしたらしぶとくメディアを賑わせ続けるのかもしれません。

<著者> 上村 吉弘(うえむら よしひろ)
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター
1972年生まれ。読売新聞記者8年余、国会議員公設秘書3年余を経験。記者時代に司法・県政の記者クラブに所属し、秘書時代に中央政界の各記者クラブと接してきた経験から、報道機関の在り方に関心を持つ。政治と選挙を内外から見てきた結果、国民の政治意識の低さに危機感を覚え、主権者教育の必要性を訴える活動を行っている。