マイクロソフト、ブロックチェーン活用した個人IDプラットフォームを開発 (2016/6/1 ビットコインニュース)
マイクロソフトが、複数のブロックチェーンで利用可能なオープンソースの個人IDプラットフォームの開発に取り組んでいることを明らかにした。研究開発にはBlockstack LabsとConsenSysと提携して取り組む。
個人IDプラットフォームは早ければ今年の夏に最初のバージョンがリリースされる予定で、同社によれば、Microsoft Azure上で誰もが簡単に同フレームワークを活用し個人認証のためのアプリケーションを構築することができるようになるとのことだ。
マイクロソフトのブロックチェーン・ビジネス・ストラテジストを務めるヨーク・ロードスIII氏によれば、現在世界人口の5人のうち1人が戸籍を持たない人々であり、5歳未満にいたっては3人に1人が法的に存在していない状態だという。戸籍がないということは、公的な支援や保険が受けられないことを意味する。
「法的な身分証明がない世界では、子どもや人々は社会において見えないところで起こる人身売買や売春、児童虐待に対して脆弱です。」ロードス氏は語る。「2030年までにすべての人々に身分証を発行することを国連SDGは掲げていますが、課題は多く残ります。どのようにわれわれはこの目標に取り組めばいいのでしょうか?」
かねてよりBaaSを展開しているマイクロソフトが目をつけたのは、ブロックチェーンを活用した「自己証明型身分証明」(self-sovereign identity)。政府や自治体、非営利団体が主導して身分証の発行を行うにはどうしても限界がある。ならば、身分証が必要な人々が公的な効力を持つ証明手段を自身で発行できるようにすることで、長期的な発展の中で無理なく手段を提供できるようになるというわけだ。
「この取り組みの中でのわれわれのゴールは、ブロックチェーンを基盤にした身分証明手段について関係各所と議論を始めることです。アプリやサービス、もしくはより重要な、人々の社会生活。自己で所有し、証明可能な身分証明手段がどれだけ世界を改善するか、議論できればと思っています。」
同社のブロックチェーンパワード個人IDプラットフォームは、複数のブロックチェーンで利用可能な「クロスチェーン・プラットフォーム」となる。ビットコインやイーサリアム、その他のあらゆるブロックチェーンが既に存在しているが、セキュリティ上の課題やブロックチェーン自体のネットワークの永続性を考慮して複数の選択肢を用意しているとのこと。
イーサリアムへの接続にはConsenSysの「uPort」が使われており、また、ビットコインへの接続にはBlockstackの「Onename」が採用された。
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