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東京から「消滅可能性都市」に移住したけど、意外と不便じゃなかった件 (2016/3/12 地域移住計画

関連ワード : 三重 地域おこし協力隊 尾鷲市 移住 

「東京は超便利。でも、田舎は不便でろくに何もできない」なんて、大きな勘違いでした。

はじめまして、この度新しくイジュー☆ライターとなりました、すずき教平と申します。どうぞよろしく。

僕は現在、26年間住み続けてきた東京を離れ、今月より三重県尾鷲(おわせ)市の地域おこし協力隊として活動をスタートしております。

これが尾鷲やでー

これが尾鷲やでー

東京から、地方へ移住するにあたって。

僕はまだ尾鷲に引っ越してきてあまり時間は経っていませんが、母方の実家がある事も助けになり、早速田舎暮らしをエンジョイしています。

まだまだやりたい事は無数にあるのですが、それでもエンジョイしている様をSNSでアップしまくっていたら、東京の友達に「楽しみすぎだろ…東京は嫌いなの?」なんて言われてしまったほどです。

もちろん、東京は故郷で大好きなので、「どっちも好きだよ」とは言っておきましたけどね。

 

僕はもともと、大学で地域活性化の分野に興味を持って専攻をしてきたこともあり、一貫してまちづくりの仕事に携わりたいという想いを持っていました。

その気持ちを持ちつつも、「就職したら、『やりたい事をやる』なんて、理想論でしかないよなぁ」なんて、夢のないサラリーマンのような諦めもあったことから、正直、仕事は妥協している部分がありました。

不動産会社に入って、物件開発が出来るかと思いきや、ひたすら上司への報告資料ばかり作らされたり。

マーケティングを学ぼうと思って広告代理店に入ったけれど、仕事内容が想像とギャップが大きかったり。

 

まぁ、これは誰しもが経験することで、ある種サラリーマンとして働くには当たり前の事かもしれません。

でも、僕はこらえ性がない性分なのか(笑)、どうしても、その環境でくすぶり続けることが出来ませんでした。

 

そこで、本当に自分がやりたい地域活性化の仕事に携わろうと思ったところ、「地域おこし協力隊(※)」の制度を知り、「これだ!!」と思って、ソッコーで飛びついたという訳です。

※簡単に言えば、総務省のお金で自治体が外部から人材を雇って、「よそもの」目線で地域活性化の業務を行ってもらう制度のこと

 

でもですね。

やっぱり、いくらやりたい事が協力隊で出来るからと言って、今まで育ってきた地を離れるのは度胸がいりますよ。

僕はまだ年齢も若く独身ですが、父方の家族もいますし、友達も全員こっち。恋人もいます。

逆に、地方に行ったら、基本的にほとんど誰も仲間がいませんから。ぼっちです。

 

やはり、皆と離ればなれになるのは心細いし、申し訳ないし、怖い部分は強かったです。

それに、地方に移住する場合、不安なのは交友関係だけではありません。

僕が同じく気にかかっていたのは、協力隊後の仕事と、生活利便性です。

 

東京は、やはり世界トップクラスの経済都市。求人は有り余るほどありますし、交通網やお店だって「これでもか!」というくらい存在するので、仕事も利便性も全く不自由はありません。

しかし、地方は真逆で、「仕事もねぇ、店もねぇ、俺らの村には電車もねぇ」なんて状態になる訳です。

 

特に、僕が飛び込んだ尾鷲は市でありながら、人口は18,000人をも割るかという所。

周辺市町村(東紀州地方)とも同様に、少子高齢化による過疎化が激しい街で、「消滅可能性都市」の一つとして挙げられるほど、典型的な田舎の様相を呈している場所なのです。

最近は高速が通って便利になりましたが、それでも最寄の大都会、名古屋までは車で2時間30分。

紀伊半島の僻地にあり、相当過疎高齢化が進んでいるような、だいぶ田舎レベルの高い街です。

 

その中で、果たして都会の暮らししか知らない「THE・シティボーイ」の僕が暮らせるのだろうか?

正直、そういった不安が強く、協力隊の面接を受ける前も、内定をもらった後も、「これで良かったんだろうか…」という心配は尽きませんでした。

 

だがしかし。

「地方は不便」という言葉は「完全に都会人の思い込み」で、ほとんどの場合杞憂になる事なんだと、移住してすぐに分かったのです。

 

僕の一発目の記事では、その「杞憂」とはどういう事なのか?についてお話することにします。

仕事は確かに少ない。でも、それだけ。

尾鷲の水産業者や飲食店が毎月朝市で出店する「尾鷲イタダキ市」

尾鷲の水産業者や飲食店が毎月朝市で出店する「尾鷲イタダキ市」

まずは、仕事について。

 

確かに、多くの人が考える通り、東京と比べれば地方、特に田舎の地域にはあまり仕事がありません。

企業が少ないのだから、当然のごとく求人は少なくなります。

それは紛れもない事実で、なかなかどうともしがたい所ではあります。

 

しかし、仕事の数がたくさん無くても、まぁいいじゃないですか。

もちろん、「どうしてもやりたい分野の仕事が、東京くらいしか求人がない!」なんて状況だったら難しいですが、別に選ばなければ仕事自体はあります。

 

給料は都会と比べればもちろん安いですが、それ相応に住宅などの生活コストが安いので、お金の面は心配ありません。

「地方都市」と言われるレベルの町であれば、事務職から現場職まで幅広くありますし、業種の選択もそれなりにすることが可能です。

農林漁村に入ってしまうと確かに求人は少ないですが、そもそもそこに移住しようとあなたが思っていたら、まぁ農林漁業をやりたいと思っているはずです。だから心配は要らない(はず)ですよね。

 

それに、会社勤めじゃなくたって、公務員試験も倍率は都会に比べて低いですし、家賃コストが低い分起業のリスクだって小さいです。

起業をするとなると、地方の住民はパソコン等の色々なスキルにおいて、都会の人々より劣っている場合も多く、あなたの力が重宝されやすいので、ハードルは比較的低くなります。

自分で仕事をしたい人にとっては、あえて地方で起業するという選択肢も面白いくらいじゃないでしょうか。

 

ちなみに、尾鷲は、大型チェーン店のスタッフやら、大手企業の支店社員の募集やら、水産加工業の仕事とか、意外と仕事の幅も広かったりします。

IT系の求人なんかはまぁ無いですが、独立して仕事をしやすい分野ですし、クラウドソーシングのサイトを使えば、ある程度仕事を貰うことも出来ますから、あまり問題は無いように感じています。

田舎生活が不便なのは、お洒落番長だけ

海洋深層水使用の地産地消型スーパー銭湯「夢古道おわせ」はディ・モールト良いぞッ!

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次は、生活利便性について。

 

これはもう、「田舎は不便だ」なんて漠然と考えているだけ、損という他ないですよ。

インターネットが当たり前になった今の時代に、今更何を言ってんだ?という感じです。

 

最近では、大手スーパーやネットショップで、日用品や食料品を宅配で買える「ネットスーパー」のサービスの提供がドンドン進んでいます。

北海道の果てから沖縄の果てまで、ネットスーパーを使えば、山奥の村に住んでいても、わざわざ危険な山道を下ってまで街のスーパーへ買い物に行かなくてもいいんですよ。

それに、必要最低限のものは、どんな田舎でもコンビニか個人商店はあるので、簡単に調達できますしね。

 

その他にも、ネットがあれば大半のものは買えます。しかも、店頭より安く。

商品のレビューも見られるから、より良いものを買えますし、自分が知らなかった製品の情報も入手することができます。

購入から配達までに少しラグがあることだけが欠点ですが、それもAmazonのプライム会員になれば、月額300円ちょっとで即日配達になりますしねぇ。

 

あと、相当な田舎町でなければ、主要国道沿いに大きな店舗があって、基本的にはそこで色々揃います。

尾鷲も、家電量販店やホームセンター、イオン等があり、買物は全く不便をしません。

 

ただ、原宿なりなんなりで毎週服を買ったりするようなお洒落さんには、田舎は少し不便かもしれません。

ネットで何でも買えるとは言うものの、やはり服や靴などは、実際に試着して、色合いとかサイズ感を見たいですからね。

さすがに、そこそこ開けている都市じゃないと、お洒落なファッションショップはなかなか無いので、試着をしてお洒落なものを買うのはハードルが高くなるかと思います。

 

まぁ、相当なお洒落さんでない限り、どんな田舎に行っても、買物に困ることはまず無いと思いますよ。

結論、僕が尾鷲で暮らして感じること

買物の不便は全然ありませんし、働き口も意外とあるし、今や不安はまったく無いですねぇ。

 

車の運転はまだ慣れてないので、運転する時の不安はありますけどね(笑)

まぁ、他に一つだけ不便な所があるとすれば、車でしか行けない地域に住んでいる仲間とは、なかなか飲み会がし辛い所ですかね。

そこは、もう少し暖かくなったら、飲み屋街近くの我が家(贅沢にも一人で住んでる)に泊めてあげよう(笑)

 

本当、もしあなたが仕事と買物の利便性を心配して田舎暮らしに踏ん切りが付かないとしたら、全然心配する事ないって思ってください。

地域はあなたの都会で培ったスキルを存分に買ってくれるので、働き口にもあまり困らないでしょう。

ネットが使えればほとんどの品物は満足に買えますし、多くの地域では、少し車を出すだけで日用品なんかは全て手に入ります。

逆に、何をするにもお金がかかって仕方がない都会より、ある意味便利なのかも…知れませんよ。

 

では、また。

提供:地域移住計画

著者プロフィール
KyoheiKyohei
1989年4月16日 三重県尾鷲市生まれ、東京都出身。出生後すぐ東京都に移り、以後保育園から会社員までドップリ都会暮らしを送る。2016年3月より、尾鷲市の地域おこし協力隊として、日々うまい魚とビールで一杯やりながら、過疎高齢化の著しい尾鷲市に移住者・定住者を増やすべく、担当職員と日々知恵を絞っている。個人ブログ「湘北高校帰宅部」も細々運営中。
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